ヒトコトあらすじ
主人公デクスター・グリーンが、奔放な女性ジューディ・ジョーンズに魅かれ、人生のなかで翻弄されてゆく。しかし最後には彼女の結婚(他者との)により、深い喪失感に暮れるという”失恋物語”となっています。
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●1.基本データ
Lキャラクター構成
L舞台設定
L詳しいプロット(展開)
L文章抜粋
L作者について
L同じ作者の作品
L同じ年代の有名作品
L同じ国の有名作家
●2.社会データ
L歴史的背景
L社会に与えた影響
Lメディア化
●3.類推データ
Lココがスゴい!
L似ている名作
L似ている最近の作品
1.基本データ
初刊:1922年 作者:F・スコット・フィッツジェラルド
長さ:短編 ジャンル:恋愛
キャラクター構成
デクスター・グリーン・・・主人公。青年期にはゴルフキャディのアルバイトをしていた(その際にジューディと初めて逢う)。大学卒業後、ランドリービジネスの共同経営者となり、後に実業家として成功する。
ジューディ・ジョーンズ・・・本作のヒロイン。自由奔放で、多くの男性とロマンス関係を持っている。
アイリーン・シェアラー・・・デクスターの婚約者。
ラム・シムズ・・・ジューディの夫。酒飲みの遊び人。
デヴリン・・・デクスターの商談相手。ジューディが結婚したという情報を伝える人物。
ハート氏、サンドウッド氏、T・A・ヘンドリック氏・・・デクスターの目上のゴルフ仲間。
ヒルダ・・・ジューディの乳母。11歳のジューディとゴルフ場に付きそいで来ていた。
モーティマー・ジョーンズ・・・ジューディの父親。ゴルフキャディをしていたデクスターをえらく気に入っていた。
舞台設定
シェリー・アイランド・ゴルフクラブ・・・ゴルフ場。ジューディと出逢い、そして再会する場所。近くにはブラック・ベア湖がある。ミネソタ州ホワイトベアレークがモデルと言われている。
ニューヨーク・・・クリーニング店を共同経営者に任せ、デクスターが移り住む場所。デヴリンがやってきてジューディの結婚を知ることとなる。
詳しいプロット(展開)
主人公デクスターは、ミネソタ州の中流階級に生まれた青年。14歳になったデクスターはお金稼ぎのためにゴルフキャディーのアルバイトをしていた。そんななかで、デクスターのお得意様だったモーティマーの娘ジューディ・ジョーンズと出逢う。ジューディはまだ11歳だったが、その美しさの片鱗にデクスターは心を奪われる。しかしデクスターは以前から退職を決めていたため、キャディのバイトを辞めてしまう。
大学卒業後、デクスターはクリーニング店の共同経営権を買い取る。そこで顧客のニーズに応えるノウハウを駆使しながら業績を伸ばしてゆく。そんななか、かつてキャディを務めていた人物たちに招待を受けて、シェリー・アイランド・クラブに戻るデクスター。すると、ゴルフメンバーのT・A・ヘンドリック氏の頭にゴルフボールが飛んでくる。まもなくボールの打者がやってくるが、やってきたのはなんと、成長してより美しくなったジューディだった。その夕刻、ゴルフクラブのベランダからブラック・ベア湖を眺めているとボートに乗ったジューディに再会する。明るく話しかけてきたジューディはデクスター操舵を頼み、それに応じる。そしてボートのなかで「あすの晩お食事でもどう?」と言われ、デクスターはそれにも応じると、翌日の晩、彼女の家へと向かった。そしてそこでロマンスが咲くこととなる。しかしデクスターはすぐに、自分はジューディを取り囲む男のダースのひとりに過ぎないということにも気付かされることとなる。
やがて18ヶ月ほど時は過ぎ、デクスターにはアイリーン・シェアラーという婚約者ができる。しかしそこで再びジューディが戻ってきたため、アイリーンとの婚約を蹴って、デクスターは再びジューディに首ったけになりますが、それも1カ月で裏切られることとなり、その後ジューディに会うことはなかった。
7年後、クリーニング店を共同経営者に任せ、ニューヨークで実業家として成功していたデクスター。そんな彼のもとに、商談相手のデヴリンという男が現れる。そして彼とのミーティング中に、彼の友人(ラム)の妻がジューディであることが発覚する。さらに、歳をとって美しさの薄まった彼女が、夫に冷遇されているなどの実情を聞き、デクスターはやるせない喪失感に苛まれるのだった。
文章抜粋
●十一歳になるあの女の子だったーーいまは不器用を絵に描いたようだが、それは年端もいかぬ少女のつねで、あと数年もすればとてつもなく美しい女性となり、数知れぬ男どもの心をとろかさずにはおかないだろう。
●ジューディの育ってきた世界にはいくら幻滅しても、ジューディこそ理想の女性という幻想は捨てきれなかった。
●失うものは何もないのだから、もう傷つくことはないだろう、デクスターはそう考えてきたーーしかし、たったいま確実に何かを失ったのだと思い知らされた。かりに自分がジューディ・ジョーンズと結婚してその容色が衰えてゆくのをわが眼でたしかめたとしても、結果はおなじだったろう。
●「ずっと以前には、ぼくのなかに何かがあった。だが、いまはもうなくなった。いまはもうない、なくなってしまった。泣いてもむだだし、嘆いてもむだだ。失ったものはもう二度とよみがえることはないのだ」(最後の一文)
作者について
F・スコット・フィッツジェラルド
アメリカ「ロスト・ジェネレーション」の代表的作家。両親ともにアイルランド系。高校時代から学内誌などで早くも文才を発揮。第一次世界大戦が起こり、大学を中退して陸軍へ入隊。作家として成功するが派手な浪費により経済的に苦労。生活のために短編を書くような状況に陥ったりもした。44歳の若さで心情発作で死去。代表作『グレード・キャツビー』は何度もリバイバル映画化されている。
同じ作者の作品
長編
- 『楽園のこちら側』
- 『美しく呪われた人たち』
- 『グレート・ギャツビー』
- 『夜はやさし』
- 『ラストタイクーン』
- 『フラッパーと哲学者』1920
- 『ジャズ・エイジの物語』1922
- 『すべて悲しき若者たち』1926
- 『Taps at Reveille』1935
- 死後『Afternoon of an Author 』1957
- 死後『Babylon Revisited and Other Stories』1960
- 死後『The Pat Hobby Stories』1962
- 死後『The Basil and Josephine Stories』1973
- 死後『The Short Stories of F. Scott Fitzgerald』1989
- 『『植物 : 大統領から郵便配達人へ』1923
- 『The Crack-Up 』1945
脚本
- 『マリー・アントワネットの生涯』1931
- 『三人の仲間』1938
同じ年代の有名作品
- 「作者を探す六人の登場人物」ルイジ・ピランデッロ(イタリア1921)
- 「クローム・イエロー」オルダス・ハックスリー(イギリス1922)
- 「聖女ジョウン」ジョージ・バーナード・ショー(アイルランド1923)
同じ国の有名作家
- アーネスト・ヘミングウェイ(アメリカ)
- ウィリアム・フォークナー(アメリカ)
- セオドラ・ドライサー(アメリカ)
2.社会データ
歴史的背景
この本の出版される1920年には禁酒法がアメリカで制定されており、飲酒および所持がきびしく取り締まられていました。いっぽうで1920年代のアメリカでは第一次世界大戦での勝利の影響もあり、好景気で湧いていました。そんな好景のなかで書かれた作品となっています。
社会に与えた影響
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メディア化
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3.類推データ
ココがスゴい!
執筆中…
似ている名作
執筆中…
似ている最近の作品
●映画『500日のサマー』
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※ネタバレ注意
主人公トム・ハンセンが、小悪魔ヒロイン「サマー・フィン」と出逢い、翻弄されてゆく様を描いてゆく映画となっています。「運命の人だ…」とサマーに執着するトムでしたが、最終的にはサマーが他の会ったこともない人物と結婚して、二人は別れてしまいます。プロローグで幼少・青年期が語られる部分や、時系列が飛ぶ手法、最期は結ばれずに終わるという展開など、かなり類似点の多い作品と思われます。
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