ヒトコトあらすじ
「シャーロック・ホームズ」第一作。復讐を誓った男が見事に復讐を遂げ、安らかに死んでいくという物語となっています。
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●1.基本データ
Lキャラクター構成
L舞台設定
L詳しいプロット(展開)
L文章抜粋
L作者について
L同じ作者の他作品
L同じ年代の有名作品
L同じ国の有名作家
●2.社会データ
L歴史的背景
L社会に与えた影響
Lメディア化
●3.類推データ
Lココがスゴい!
L似ている名作
L似ている最近の作品
1.基本データ
Amazon(角川文庫):https://amzn.to/3wXcgp6
初刊:1887年 作者:アーサー・コナン・ドイル
長さ:中編 ジャンル:ミステリー・推理
キャラクター構成
シャーロック・ホームズ・・・・自称・探偵コンサルタントの男。ずば抜けた推理力は警察にも一目置かれている。ワトソンと共同生活することになる少し変わった男。
ジョン・H・ワトソン・・・・物語の語り部。ホームズと些細なきっかけから同居することとなり、彼の仕事に同行する。
スタンフォード青年・・・・ワトソンと知り合いの青年。聖バーソロミュー病院にいたころに助手であったという経歴を持つ。戦地から帰ってきた時にたまたま再会して、ホームズとワトソンを引き合わせる。
レストレード警部・・・・ロンドン警視庁の警部。小柄で顔色が悪い。グレグソン警部とはライバルであり、いつも成果を競っている。
トバイアス・グレグソン警部・・・・ロンドン警視庁の警部。色白で背が高い。レストレード警部とは何かといがみ合っている。
イーノック・J・ドレッバー・・・・今回の第一被害者。ブリクストン通りの空き家で変死体として発見される。父親はモルモン教四大長老のひとり。ルーシーを無理やり妻にして死なせてしまう。
ジョゼフ・スタンガソン・・・・ドレッバーと同様にモルモン教の長老の息子。ユタから逃げ出したあとは、ドレッバーとともに各地を転々としていたが、ハリデイ・プライベート・ホテルで遺体が発見される。
ジョン・ランス・・・・巡回中にドレッバーの遺体を発見した巡査。ホームズらが話を聞きにいく。
アーサー・シャルパンティエ・・・・海軍中尉。ドレッバー殺しの容疑をグレグソンにかけられて捕まる。しかし酔っ払ったドレッバーに、妹が襲われそうになったため棍棒で追い返しただけだった。
シャルパンティエ夫人・・・・アーサーの母親。下宿を切り盛りしている。
アリス・シャルパンティエ・・・・アーサーの妹。下宿していたドレッバーに言い寄られる。
ジョン・フェリア・・・・西部開拓の生きのこり。幼いルーシーとともに荒野をさまよっていたところをモルモン教徒たちに救われ、施しを受けるために入信。ルーシーを幼女にして、モルモン教徒の地(ソルトレークシティ)にて広大な農地と財産を築き上げる。しかしルーシーとホープの駆け落ちを手伝うさなかで、モルモン教徒たちに殺されてしまう。
ルーシー・フェリア・・・・西部開拓の生きのこり。家族を亡くしたため、同じ生き残りであるジョン・フェリアの養女となる。異教徒であるホープと恋に落ちるが、長老のひとりの息子ドレッバーと結婚させられる。
ジェファソン・ホープ・・・・今回の犯人。かつての恋人・ルーシーとその義父・ジョンを殺したドレッバー&スタンガソンに復讐を燃やし、ついに目的を遂げる。ホームズの推理にとって捕まってしまうが、最後はすでに患っていた大動脈瘤で命を落とす。
ブリガム・ヤング・・・・モルモン教徒の指導者。
舞台
ベーカー街ニニ一番地B・・・ホームズとワトソンが共同生活することになる部屋。探偵コンサルタント・ホームズの力を求め、様々な依頼者が訪ねてくる。
ローリストン・ガーデンズ三番地・・・事件現場。どこか不気味な雰囲気をかもした空き家。ドレッバーの遺体が発見される。
ソルトレークシティ・・・ユタ州に位置する州都。ホープの回想に登場。モルモン教徒やドレッバーたちとの因縁が生まれることとなる地。
ハリデイ・プライベート・ホテル・・・スタンガソンの遺体が発見されたホテル。が駆けつけたレストレードが遺体を発見する。
詳しいプロット(展開)
●戦争から帰ってきた男ワトソン
ロンドンにて医学博士の学士を取った「ジョン・H・ワトソン」はまもなく軍医補の資格を得て、アフガン戦争へと参加していた。
しかし銃弾で肩を撃たれた上に、腸チフスまで患ったワトソンは、やむなく帰国を余儀なくされた。
ロンドンに帰国後、下宿先を探していると、偶然知り合いのスタンフォード青年に再会する。
ワトソンが下宿先を探しているという話題を出すとスタンフォード青年は、同じく下宿メイトを探す人物がいると提言してきた。
その人物こそが、後に同居人となるシャーロック・ホームズである。
スタンフォード青年の話で興味の湧いたワトソンは、ホームズへ直接会いに行くことにした。
●ホームズとの共同生活、世界でひとりの”探偵コンサルタント”
一風変わったホームズの生態にすこし驚くワトソンだったが、まもなくホームズと暮らすことになる。
お互いの荷物をベーカー街ニニ一番地Bの部屋に運び、ついに共同生活が始まるのだった。
共同生活の中で、ますますホームズに興味を抱いたワトソンは、彼がどんな仕事をしているのかという興味を抱きはじめる。
時々レストレード氏という小柄な男をはじめとして、さまざまな人々が訪ねてきて、リビングを事務所代わりに使う。そのたびにワトソンは寝室へと引っ込んでいたが、きっと知られたくないのだろうという気遣いから、いつしかワトソンは詮索することをやめてしまった。
ある朝のリビングで、雑誌のくだらない記事に対してワトソンが文句を漏らしていると、ホームズが記事について尋ねてくる。ワトソンが記事を見せてやると、なんとそれはホームズが書いた記事だった。それをきっかけに、ホームズが自称・世界でただひとりの職業”探偵コンサルタント”を生業としていることを知る。
しかし「観察の訓練を積めば、目の前の出来事から多くを学び取ることができる」という根拠の薄い記事の内容や、自分の推理力にうぬぼれているホームズにいら立ちを感じたワトソンは、ホームズの実力を試そうと仕掛けてみる。
ちょうど道路の向かい側から、封筒を持った男が見えたので「彼は何を探しているのかな?」と訪ねてみた。するとホームズは「あの海兵隊の退役軍曹のことかい?」と返してきた。
内心”大ぼら吹きめ!”と罵ったワトソンだったが、男が部屋を訪ねてきた際に職歴を質問してみると、まさにホームズの推理通りであった。
●怪事件を知るワトソン
ホームズの実力にすっかり尊敬の念を抱いたワトソン。
海兵隊を言い当てたことに終始驚いていると、気を良くしたホームズが面白い事件があると手紙を渡してきた。
それはロンドン警視庁・トバイアス・グレグソンからのものだった。興味を抱いたワトソンは、ホームズの誘いもあって初めて探偵コンサルタントの業務へ同行する。
●事件現場へーローリストン・ガーデンズ三番地
現場である空き家へと向かうと、そこにはレストレード警部とグレグソン警部の姿があった。ふたりは捜査の手柄を取り合うライバル関係にある。
なかへ入ると、そこにはイーノック・J・ドレッバーの死体があった。ホームズは現場を入念に調べ上げた。
ホームズが全て調べ終えると、警察関係者が遺体を担ぎあげる。その時、指輪が遺体から落ちる。
警部たちはこの事件に女が関わっていると確信した。まもなくレストレード警部が、RACHEという血文字を食堂で発見する。
レストレードは得意げにRACHEL(レイチェル)という女の名前を書こうとしたのだという推理を述べたが、ホームズは血文字はドイツ語で”復讐”という意味であることや、犯人の身長や足の大きさ、葉巻を吸っている、赤ら顔であることなどを見事に推理して見せるのだった。
●第一発見者・ランス巡査の家へ
事件現場をあとにした後で、ホームズとワトソンは第一発見者である”ランス巡査”の自宅へと向かった。そこで発見当時の証言を聞いていくが、その時に現場近くにいた酔っぱらいを見逃したと言われる。その証言を聞いたホームズは、その酔っぱらいこそが犯人だったと述べ、ランス巡査に対して「あなたは警察では出世できない」と言い捨てるのだった。
帰りの場所でまぬけなランス巡査への悪態をつきながらも、ホームズは今回の事件に「緋色の研究」という芸術的な名称を付けるのだった。
●ダミー指輪を使っての陽動作戦‥しかし現れたのは…
自宅に帰ってきたワトソン。まだ病み上がりということもありすっかり疲れてしまっていた。一方のホームズは、演奏会に行くと言っていたが帰ってきたのは夕方だった。
帰ってきたホームズはワトソンに夕刊を見せる。そこにはワトソンの名前を使って(ホームズの名前は知れ渡っているため警察がヘタに動く可能性があるため)、指輪を拾得したという広告を載せていた。
ホームズは犯人がかならず指輪を取り返しに来ると確信しており、そっくりの指輪を用意して犯人をおびき寄せようとしていた。
ホームズの狙い通り指輪を求めて人物が訪ねてきたが、その人物は予想していた”男性”ではなく老婆だった。
老婆は娘サリーのものだということで指輪を受け取ると、すぐにその場を去ったが、ホームズは老婆を尾けることにした。
●尾行は失敗
尾行からホームズが帰ってきたのは深夜だった。
ワトソンが経緯を尋ねるとホームズは尾行のいきさつを語り始めた。
まず、尾行からまもなくして、足を痛めているようだった老婆は辻馬車に乗った。
ホームズはその馬車のうしろにしがみつき、老婆が御者に告げた住所の少し手前で降りた。
そして雑踏に混じって様子を伺った。
しかしいつまで経っても馬車から人が降りてこないため、ホームズは馬車を確認しにいった。しかし馬車はすでにもぬけの殻だった。
一連の出来事を語り終えたホームズは悔しそうに、犯人には仲間がいると言うのだった。
●ベーカー街探偵団とアーサー中尉
翌日、「ベーカー街探偵団」というホームズがお駄賃を渡して雇っている少年たちが家へやってくると、ホームズの命令に従ってすぐに去っていった。
ワトソンが子供らについて尋ねると、子供のほうが怪しまれないのでいろんなところに潜り込めるという利点を述べたり、確かめたいことがあるので今まさに彼らを偵察に行かせたなどといったことを述べるのだった。
少年隊が去ったあと、すぐにグレグソン警部がご満悦な様子でがやってきた。どうやらアーサー・シャルパンティエという海兵の男を捕まえたのだった。
グレグソンが捕まえた経緯を語り始めた。
アーサーの実家は下宿屋であり、その日はドレッバーとスタンガスンが泊まっていたらしいが、酔っ払っていたドレッバーが、アーサーの妹・アリスに執拗に駆け落ちを迫ってきたらしい。
その態度に腹を立てたアーサーは棍棒でドレッバーを叩き、母親(シャルパンティエ夫人)に逃げ出したドレッバーを尾けてくると言い残して、夜まで帰らなかったのだという。
そのような証言を母親・シャルパンティエ夫人から聞き出したグレグソンは、アーサーの居所を突き止めて逮捕に至ったというわけだった。
だがそこにレストレード警部がやってきた。そして彼はハリデイ・プライベート・ホテルで、スタンガスンが遺体で見つかったという報せを持ってくるのだった。
●父・叔母も立て続けに亡くなってしまう
レストレード警部は、スタンガスンが犯人だと思って動向を追っていたらしく、ハリデイ・プライベート・ホテルにいるという情報を受けて向かったところ、遺体を発見したのだという。
死体は心臓を突き刺され、ドレッバーと同じくRACHEという血文字が胸に書かれていたらしい。
だがその事実をレストレードが言う前に、ホームズはなぜか死体の上に血文字があったことなど、現場の状況を言い当てるのだった。
そしてレストレードが木箱に二つの丸薬が入っていたという証拠品のことを述べた瞬間、ホームズは飛び上がり、事件は解決だと言うのだった。
●トリック披露
ホームズは、下宿先のおかみが飼っていた老いぼれ犬を、ワトソンに連れて来させる。
その犬は、おかみが早く楽にしてやってくれないかと常々ホームズに言っていた犬だった。
その犬に丸薬を溶かしたミルクを舐めさせると、犬はたちまち死んでしまった。
ホームズはすべてを納得して、少年隊に手配させていた馬車を呼び出す。
するとホームズはやってきたその馬車の御者に、またたくまに手錠をかけた。
男は必死に抵抗したがワトソンや警部など4人がかりで取り押さえられ、縛り上げられるのだった。
●心臓の動脈瘤
取り調べ室に連行されられた犯人・ジェファソン・ホープ。しかし彼は殺人犯とは思えぬ紳士な男だった。
そしてホープは、取調室ですぐに自分は裁判にかけられることはないと言い出す。ホープは医者であるワトソンに自分の胸を触るようにうながす。
医者であるワトソンは、触診ですぐにホープが大動脈瘤を患っていることに気が付く。
その危険な病状を加味したうえで、供述を取っておくことが最善と考えた係官の言葉もあって、ホープは自分の犯行経緯を話しはじめるのだった。
●復讐のいきさつ
1847年ユタ州。西部開拓の生きのこりだったジョン・フェリアと5歳のルーシーは荒野で飢えながら、死が訪れるのを待っていた。しかし幸いにも彼らは、モルモン教徒の大移動に行き合った。
指導者ブリガム・ヤングは、モルモン教徒に入信するのならば同行を許すという条件を出してきた。背に腹は代えられず、ジョン・フェリアとルーシーはモルモン教徒になるのだった。まもなくジョンは開拓者として成功をおさめ、大きな農地と財産を築いた。いっぽうのルーシーも美しく成長していた。しかしジョンは、モルモン教徒の複数の妻を持つという決まりを嫌っており、養女となったルーシーにもモルモン教徒との結婚はさせないと誓っていた。
そんなある日、落馬しそうになっていたルーシーを、ジェファソン・ホープという旅人が助ける。ふたりはすぐに仲良くなり婚約をする。しかしホープは銀鉱山で働いていたため、2ヶ月後、ふたたび戻ってきた時に結婚しようと約束するのだった。
しかし直後、ルーシーとホープの関係を知ってか知らずか、指導者・ブリガム・ヤングがやってきてルーシーを30日以内にモルモン教徒と結婚させるように言ってきた。
ルーシーの幸せを願うジョンは、ホープへ救援を求める手紙を書いた。ホープを待つ間も、結婚の候補者であったドレッバーやスタンガソンが訪ねてきたり、家じゅうに脅しの刻み文字が彫られていたりと、信徒によるさまざまな嫌がらせに耐える。そして猶予期間のギリギリで、ホープが戻ってきた。
合流した3人は、なんとかソルトレークシティを抜け出して馬を走らせた。やがて安全な場所まで来たと判断したホープは、ジョンとルーシーを焚き火のそばに残して、獲物を取りに出かけた。しかし獲物を捕まえて戻った時、そこにふたりの姿は無かった。ルーシーは拉致され、そしてジョンは殺されて近くの土のなかに埋められていた。
ホープは歩いてソルトレークシティまで戻ったがそこで自分に逮捕状が出ていること、ルーシーがドレッバーと結婚させられたという事実を知る。
さらにその一ヶ月後にはルーシーが苦悩がたたって亡くなった事を知る。ホープはドレッパーの他の妻たちが悲しんでいる通夜に踏み込むと、ルーシーに口づけをして、その指輪から結婚指輪だけを抜き取って姿を消した。
そして、愛する者を失ったホープはついに復讐の鬼と化すのだった。
山奥に潜んではドレッバーの家に銃を撃ち込んだり、歩いているところに岩石を落とすなど、さまざまな嫌がらせをしたが、山奥での暮らしに限界を感じ始めたため、まずは資金を蓄えてから復讐をしようと考えた。しかし鉱山で資金を稼いでいるあいだに、ドレッバーたちはモルモン教徒の分裂さわぎのなかで、モルモン教から脱宗してクリーブランドに移住してしまったころを知る。
そこからホープの長い長い追跡生活は始まる。ホープはドレッバーらを追って、ロシア~フランス~デンマークなど多くの国々を転々としながら、復讐の火を燃やし続けていた。
そしてついに、事件の舞台”ロンドン”にてドレッバーとスタンガスンに追いついたのだった。
●ついに復讐へ…
ホープは生活のために馬車の御者になっていたが、ある夜、泥酔したドレッバーが自分の馬車に乗ってきたのである。
ホープは入念に準備していた空き家へとドレッバーを連れていき、ドレッバーにルーシーの結婚指輪を見せて怯えさせたあと、無害と有毒、2粒の丸薬の入った小箱からひとつを選ばせて飲ませた。そして残ったほうをホープ自身が飲み込んだ。
もしも自分の行為が正しいのなら、きっとルーシーや天が自分を導き、生かすはずだという哲学感から、ホープはこの復讐法を考えた。
結果、ドレッバーは毒死してホープは生還するのだった。
その後、スタンガスンへの復讐へと向かったホープだったが、スタンガスンは死の選択を拒否して襲いかかってきたため、ホープはやむなくナイフで刺殺したのだった。
こうしてホープの復讐は終わりを告げたが、ホームズの尾行を撒いた謎の老婆の正体を明かすことはなかった。
●ホープ、安らかに…
逮捕されたその夜ーー。
ホープは宣告通り、裁判を受けることなく心臓の動脈瘤が破裂して息を引き取った。
しかしその顔は大きな仕事をやり遂げたかのように安らかだった。
●名コンビ誕生
今回の事件を「緋色の研究」と題して、おもしろい事件だったと振り返るホームズとワトソン。
ホームズは再度、推理の総括を始めた。
やがて総括を終えたホームズが、それでも成果は刑事たちのものになるんだがねと笑いながら言うと、ワトソンが今回の事件の手記を取り出す。
そして、そのうちホームズの功績を世間に公表してやるさと慰めるのだった。
文章抜粋
● わたしが一番びっくりしたのは、地球が太陽の周りを回っていることすら知らないと、分かったときだった。この十九世紀の教養ある文明人で、コペルニクスの地動説や太陽系について、まったく知らない者がいるとは。あまりの異常さに、わたしは耳を疑った。
●ホームズ「この事件には、妙に想像力をかき立てるような、謎めいたところがあるからね。想像力のないところには恐怖も生まれない。」
●歳月は容赦なく流れ、黒々としていた髪にも、白いものが交じるようになった。だが彼は、生涯をかけた、たったひとつの目的だけを心に念じながら、執念深く彷徨い続けた。
●「いやいや、だいじょうぶさ。ぼくは事件のことをくわしく日記に書いてあるから、そのうち世間に公表してやるよ」
その結果が、いま読者の読んでいる手記なのである。(最後の一文)
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作者について
アーサー・コナン・ドイルイギリスの作家。「シャーロック・ホームズ」シリーズが有名だが、海洋・スポーツ・歴史などさまざまなジャンルの小説も執筆している。
同じ作者の他作品
『シャーロック・ホームズ』シリーズ
- 『緋色の研究』1888 ※今作
- 『四つの署名』1890
- 『シャーロック・ホームズの冒険』短編集1892
- 『シャーロック・ホームズの思い出』短編集1894
- 『バスカヴィル家の犬』1902
- 『シャーロック・ホームズの帰還』短編集1905
- 『恐怖の谷』1915
- 『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』短編集1917
- 『シャーロック・ホームズの事件簿』短編集1927
『チャレンジャー教授』シリーズ
- 『失われた世界』1912
- 『毒ガス帯』1913
- 『霧の国』1926
『ジェラール准将』シリーズ
- 『ジェラール准将の功績(The Exploits of Brigadier Gerard)』短編集1896
- 『ジェラールの冒険(The Adventures of Gerard)』短編集1903
ミステリ(ホームズ以外)作品
- 『ササッサ谷の怪』
- 『消えた臨急』
- 『時計だらけの男』
- 『ガスタ山の医師』
恐怖小説
- 『大空の恐怖』
海洋小説
- 『樽工場の怪』
- 『クルンバーの謎』
スポーツ小説
- 『クロックスリーの王者』
- 『バリモア公の失脚』
- 『ファルコンブリッジ公』
- 『ブローカスの暴れん坊』
- 『旅団長の罪』
歴史小説
- 『マイカ・クラーク』1889
- 『ホワイト・カンパニー』1891
- 『大いなる影』1892
- 『亡命者』1893
- 『ロドニー・ストーン』1896
- 『ベルナック伯父』1897
- 『サーナイジェル』1906
その他の小説
- 『J・ハバクック・ジェフソンの遺書』1883
- 『ガードルストーン会社』1890
- 『危険!』1914
- 『マラコット深海』1929
ノンフィクション
- 『大ボーア戦争』1900
- 『南アフリカ戦争 原因と行い』1902
- 『魔法の扉をくぐれば』1907
- 『コンゴの犯罪』1909
- 『オスカー・スレイター事件』1912
- 『フランス及びフランダースにおける戦闘』1916-1920
- 『新たなる啓示』1918
- 『妖精の到来』1921
- 『心霊主義の歴史』1926
合作
- 『看護婦ヒルダ・ウェイド』
同じ年代の有名作品
- 「父」ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ(スウェーデン1887)
- 「顧みれば」エドワード・ベラミー(アメリカ1888)
- 「黒い矢」ロバート・ルイス・スティーヴンソン(イギリス1888)
同じ国の有名作家
- ロバート・ルイス・スティーヴンソン(イギリス)
- ジェローム・K・ジェローム(イギリス)
- ジェームズ・フレイザー(イギリス)
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2.社会データ
歴史的背景
1887年のフランスはヴィクトリア女王が在位するヴィクトリア朝の統治下にありました。また産業革命によりいち早く経済発展を遂げた、イギリスの絶頂期でもあります。
社会に与えた影響
●世界で読まれる”シャーロック・ホームズ”の原点
”探偵モノ”の代名詞と言っても過言ではない「シャーロック・ホームズ」。世界中で愛読され、内容は知らずとも誰でも名前ぐらいは聞いたことはあるはず。有名シリーズでありますが、まさにこの「緋色の研究」が人気を博さなければ「シャーロック・ホームズ」が世界中に知られることは無かったかもしれません。そういった意味では、第一巻となる「緋色の研究」がいかに偉大な作品で、「シャーロック・ホームズ」をメジャーに押し上げる礎となったのかが感じられるかと思います。
メディア化
視聴リンク >>Amazon >>Netflix
2010年に開始された海外ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」。原作とは異なりますが、今エピソード「緋色の研究」をモデルにした物語もしっかり挿入されています。
3.類推データ
ココがスゴい!
「推理×復讐劇」という二度美味しい組み合わせ
「エンタメ推理」と「歴史ドラマのような復讐劇」が見事に折り重なった作品となっています。
前半ではホームズの推理やトリック、その素っ頓狂な言動を愉しめますが、後半では犯人ジェファソン・ホープの悲運な半生が壮大なスケールで描かれていきます。
よくある推理ものでは、犯人の動機などはコンパクトにされてしまいがちですが、今作は”ジェファソン・ホープ”という人物像を他の人生と並行して描いたり、モルモン教・西部開拓といった時代背景を織り交ぜるなどすることで繊密に描ききっています。
後半読了後は、まるで分厚い一代記を読んだかのような満足感に浸れますが、それでも最後には推理ものであったことを回帰させるーーそんな三層構造がとにかく魅力的です。
二つのジャンルをひとつの世界観のなかに落とし込むというアイデアと、それを実現させる文章構成技術、どの点を取っても、”珠玉の一冊”という作品です。
似ている名作
捜索中…
似ている最近の作品
●「HUNTER×HUNTER ヨークシン編」
視聴リンク >>Amazon >>Hulu
コミックス >>Amazon
王道マンガの金字塔「HUNTER×HUNTER」。特にクラピカ編と呼ばれている「ヨークシン編」では
- 緋色の眼
- 尾行のシーンがある
- 二つの選択を迫る
- 復讐劇である
- 心臓にまつわる制限がある
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