「椿姫」あらすじと解説・登場人物や舞台 アレクサンドル・デュマ・フィス



ヒトコトあらすじ


 「椿姫」と呼ばれた高級娼婦。彼女に恋した青年が、最後には彼女と死別する。そんな悲恋話を本人から聞き、それをもとに作者が書いた物語、となっています。


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ





初刊:1848年 :アレクサンドル・デュマ・フィス
長さ:長編 ジャンル:恋愛・悲劇


キャラクター構成



マルグリット・ゴーチェ・・・・高級娼婦。「椿姫」の異名を持つ。

アルマン・デュヴァール・・・・マルグリットに恋する青年。

ブリュダンス・デュヴェルノワ・・・マルグリットの隣人。

公爵・・・・マルグリットの保護者。

N伯爵・・・・マルグリットのパトロン。

デュヴァール・・・・アルマンの父。



舞台


19世紀フランス・パリ・・・フランスの首都。マルグリットらが物語を展開する主な舞台。



詳しいプロット(展開)



●椿姫と呼ばれる女

 作者(デュマ・フィス)がパリを歩いていると、ひとつのポスターが目に留まる。それは家具・骨董の売立ての広告だった。
 指定の場所を尋ねると、高級な調度品がそろっており、その住人である美女マルグリットに出会う。彼女は高級娼婦であり、巷では椿の花をいつも装飾していることから「椿姫」と呼ばれていた。


●椿姫と公爵

 そんな彼女であったが、ある時結核を患い、パリから離れたバニェールの地で療養をはじめる。そこには彼女に瓜二つの姿をした公爵令嬢も患者として治療を受けていた。
 だが、まもなく公爵令嬢が息を引き取る。
 すると娘を喪った公爵は、瓜二つであるマルグリットに娘を重ね合わせ、資金援助者(パトロン)となるので、これからも会ってほしいと願い出てくる。
 マルグリットはそれを了承する。そして結核がなおると公爵とともにパリへと帰った。
 パリでのマルグリットは高級娼婦として有名であったため、公爵との関係はたちまち評判となったが、公爵は決して父娘以上の関係を持とうとはしなかった。

 

●作者の競売

 しばし時が過ぎるーー
 作者(デュマ・フィス)は競売へと参加していた。作者は小説本「マノン・レスコー」を競り落とすが、そこに「マルグリットへ贈るーー」という書き込みを見つけ、その送り主であるアルマンという男の存在を知る。
 

●アルマンの悲しい物語


 数日後、背の高い金髪青年が訪ねてくる。彼はアルマン・デュヴァールその人であった。彼は競売で「マノン・レスコー」を競り落とすつもりだったが間に合わなかったため、どうにか譲ってほしいという旨で、作者のもとを訪ねてきたのであった。
 そこで作者は本を譲る代わりに、アルマンとマルグリットの悲しい物語を聞くことになったのであるーーー。

 

●マルグリットとの出逢い


 ある春の夜、友人と劇場へ向かったアルマン。そこでひとりの美女を見かける。マルグリット・ゴーチェである。
 しかし彼女は長い療養生活によってずいぶんと印象が変わっていた。
 というのも話は2年前にさかのぼる。
 ある時、衣装店に入っていくマルグリットを見かけたアルマンは、胸のときめきを感じ、それを鎮めることができなかった。やがてマルグリットの住んでいる場所を突き止め、彼女が病気を患っていることも知り、毎日容態をたずねるという事をはじめる。
 しかし名前を告げる勇気もなかったため、彼女がバニェールへ療養へ向かうタイミングで彼女の足取りを見失ってしまった。そして時間経過とともに彼女の印象は薄れていったーーー
 しかし再び劇場で彼女と再会したことで、ふたたびマルグリットへの慕情を再燃させることとなり、今度こそは彼女に近づく決心をする。


●マルグリットに接近


 アルマンはマルグリットの隣人であるプリュダンスに仲介を頼みこむ。しかしそれは難しいことだと言われる。なぜならマルグリットは、バニェールで出会った公爵によって、二度とふしだらな事をしないように監視されているからだ、とのことだった。
 

 だがある時、接近の機会が訪れる。アルマンがプリュダンス宅にいる折、いっぽうのマルグリットはN伯爵という男に言い寄られていた。マルグリットはN伯爵を煩わしいと思っており、隣人プリュダンスへ助けを求めてきたのである。プリュダンスへ便乗するようにアルマンはマルグリットのもとへ向かい、ついに邂逅を果たす。
 さらにそこで首尾よくN伯爵を追い出すことができたため、プリュダンスえを含めて食事をすることとなり、そこでマルグリットと急接近。まもなく一夜をともにすることとなる。




●マルグリットとの生活


 しかしアルマンの幸せは長くは続かなかった。マルグリットがG伯爵という人物と夜を過ごしたという事を知ったのである。アルマンは嫉妬にかられ、マルグリットに心無い手紙を送った。
 するとマルグリットが訪ねてきて、自分は浪費家であり、暮らしを持続するためにはお金のあるパトロンが必要なのだという事情を説明してきた。
 アルマンは事情を理解したうえで、マルグリットを恋人にして資金援助するようになる。年収の少なかったアルマンは苦しむが、賭博で勝つなどして運良く儲かり、彼女との生活は長く続いた。そのうちふたりは互いにとってかけがえのない存在になっていく。




●幸せなふたり


 その後もふたりは会い続け、公爵にも知られることになるが、マルグリットが公爵の反対をはねつけ、ふたりの関係は公然のものとなっていった。マルグリットはこれまでの仲間とも縁を切り、マルグリットの娼婦の面影は日を追うごとに消えていった。




●アルマンの父


 幸せないっぽうで、借金の問題は無くならなかった。そんななか、アルマンの父がやってきて、マルグリットと別れろと命じられる。




●消えたマルグリット


 それでも何度も父を説得することでなんとかマルグリットとの関係を認めてもらい、その喜びのまま帰ってみると、そこにマルグリットの姿は無かった。




●マルグリットとの別れ


 まもなく手紙が来て「手紙を読む頃には、私は他の男性のものになっているでしょう」と書かれていた。アルマンは泣き崩れ、父とともに故郷に帰ることを余儀なくされた。




●すれ違い


 父と故郷で過ごしていたアルマンだったが、ついにマルグリットに会わずにはいられずパリへと向かう。
 そして隣人プリュダンスに会い、マルグリットは現在N公爵の情婦になっているということを知る。しかもプリュダンス曰く、彼女は今でもアルマンのことを思っているとのことだったが、実際現場に行くと幸せそうなマルグリットの姿があり、アルマンは復讐心に燃える。
 アルマンは彼女の友人の情夫になったり、彼女の悪口を言いふらしたりと、マルグリットを貶めるためにあの手この手を使って悪さを働く。
 するとマルグリットがそれを苦にして体調を崩す。そしてプリュダンスを仲介して自分に会いに来ても良いとマルグリットに伝言をおくると、マルグリットが訪ねてきて、別れたのには事情があったのだなどと述べ、その日は彼女と一夜を過ごす。
 しかし翌日訪ねてみると、N公爵が来ているということで門前払いを食らう。さらにマルグリットはイギリスへと出かけてしまったという事も知り、すっかり傷ついてしまったアルマンは傷心旅行へと出かける。


●傷心旅行


 傷心旅行でアレクサンドリアにいたとき、ふとしたことでマルグリットが病気に苦しんでいることを知る。
 アルマンは手紙を書き、まもなく返事が帰ってくる。そこには「私の友人・ジュリーにあずけた自分の日記を受け取って欲しい」と書いてあった。そしてアルマンは大急ぎでマルグリットのもとへ戻ろうとしたが、結局臨終に立ち会うことはできなかった。





●マルグリットの最期


 後日、日記を受け取ったアルマンは日記に書かれていた、別れのいきさつを知ることとなった。
 実は彼女が去ったのは、アルマンの父との約束があったからだという。アルマンの妹の婚約者の家が、アルマンとマルグリットの関係を解決しない限り、破談すると言われたため、娘(妹)のためにアルマンと別れてほしいと言われてしまったため、マルグリットは愛するアルマンから別れる決心をしたのだーーーーなどと書かれており、「自分の行動は正しかったのでしょうかーー」などと書かれていた。
 そしてマルグリットは最後まで、アルマンの名を呼び続けながら死んでいったのだという臨終の様子もアルマンは聞かされた。




●物語の終わり


 アルマンの話はそのようにして終わり、そして作者(デュマ・フィス)はそれをもとにこの物語を書き上げた。

 






文章抜粋


●ある国の言葉を真剣に学んだ場合にしか、その言葉は話せない。それと同じように、きちんと人間を研究したあとでなければ小説の登場人物を創りだせない。私はつねずねそう考えている。(冒頭の一文)



●繰りかえし言うが、マルグリットの物語はひとつの例外である。もしこれがありふれた実例であったなら、なにもわざわざここに書くまでのことはなかったであろう。(最後の一文)



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2.雑多データ


ココがスゴい!


執筆中…


似ている名作




捜索中…



似ている最近の作品


●捜索中…



メディア化









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3.作者データ

 アレクサンドル・デュマ・フィス

 フランスの劇作家・小説家。


小説

  • Aventures de quatre femmes et d’un perroquet (1847)
  • Césarine (1848)
  • 椿姫(La Dame aux camélias) (1848) 
  • Le Docteur Servan (1849)
  • Antonine (1849)
  • Le Roman d’une femme (1849)
  • Les Quatre Restaurations. Series of historical novels in La Gazette de France titled Tristan le Roux, Henri de Navarre, Les Deux Frondes (1849–51)
  • Tristan le Roux (1850)
  • Trois Hommes forts (1850)
  • Histoire de la loterie du lingot d’or (1851)
  • Diane de Lys (1851)
  • Le Régent Mustel (1852)
  • Contes et Nouvelles (1853)
  • La Dame aux perles (1854)
  • L’Affaire Clemenceau, Mémoire de l’accusé (1866), illustrations by Albert Besnard
  • L’Homme-femme (1872)

オペラ

  • Giuseppe Verdi’s La traviata (based on The Lady of the Camellias)

演劇

  • Atala (1848)
  • The Lady of the Camellias (1852)
  • Diane de Lys (1853)
  • Le Bijou de la reine (1855)
  • Le Demi-monde (1855)
  • La Question d’argent (1857)
  • Le Fils naturel (The Illegitimate Son, 1858)
  • Un Père prodigue (1859)
  • Un Mariage dans un chapeau (1859) coll. Vivier
  • L’Ami des femmes (1864)
  • Le Supplice d’une femme (1865) coll. Emile de Girardin
  • Héloïse Paranquet (1866) coll. Durentin
  • Les Idées de Madame Aubray (1867)
  • Le Filleul de Pompignac (1869) coll. Francois
  • Une Visite de noces (1871)
  • La Princesse Georges (1871)
  • La Femme de Claude (1873)
  • Monsieur Alphonse (1873)
  • L’Étrangère (1876)
  • Les Danicheff (1876) coll. de Corvin
  • La Comtesse Romani (1876) coll. Gustave Fould
  • La Princesse de Bagdad (1881)
  • Denise (1885)
  • Francillon (1887)
  • La Route de Thèbes (unfinished)



同じ年代の有名作品
  • ワイルドフェル・ホールの住人」アン・ブロンテ(イギリス1848)
  • レッドバーン」ハーマン・メルヴィル(アメリカ1849)
  • ブラジュロンヌ子爵」アレクサンドル・デュマ・ペール(フランス1848-1850)

同じ国の有名作家
  • アレクサンドル・デュマ・ペール(フランス)
  • オノレ・ド・バルザック(フランス)
  • スタンダール(フランス)


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Author: meisaku

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