「黄金虫」あらすじと解説・登場人物や舞台 エドガー・アラン・ポー



ヒトコトあらすじ


 語り手である”私”が、”少し変わった友人”とともに暗号を解き明かして隠し財宝を見つける物語となっています。


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
  L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 L作者について
  L同じ作者の他作品
  L同じ年代の有名作品
    L同じ国の有名作家


●2.社会データ
 L歴史的背景
 L社会に与えた影響
 Lメディア化


●3.類推データ
 Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 



1.基本データ


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初刊:1843年 :エドガー・アラン・ポー
長さ:短編 ジャンル:ミステリー

私(語り手)の視点を通して、友人・ウィリアム・レグラントとの交流がえがかれてつきます。



キャラクター構成



私(語り手)・・・・今作の主人公。ウィリアム・レグラントは友人であり、時々彼のもとを訪ねるような間柄。

ウィリアム・レグラント・・・・”私(語り手)”の友人。かつては裕福だったが不運が続いたことで落ちぶれ、離れ島でひっそりと暮らしている。

ジュピター・・・・黒人の大柄な使用人。レグラントに仕えている。

G中尉・・・・レグラントの回想の中に出てくる人物。




舞台



サウスカロライナ州チャールストン・・・私(語り手)が住んでいる場所。近くにサリヴァン島がある。

サリヴァン島・・・ウィリアム・レグラントが人目を避けて移り住んだ島。海賊キッドの財宝が見つかる。




詳しいプロット(展開)



●友人・”ウィリアム・レグラント”

 物語の語り手である”私”が、友人ウィリアム・レグラントの下を訪ねるところから物語ははじまる。
 彼(レグラント)はかつて裕福であったが、不運が重なったことで貧乏暮らしを余儀なくされた人物である。彼は落ちぶれた姿を人目に晒したくないということでサウスカロライナ州チャールストン付近にあるサリヴァン島へ移住していた。


●新種の黄金虫

 いっぽうの”私”はチャールストンに住んでおり、珍しく冷え込んだある日、数週間ぶりに友人を訪ねることにした。しかし到着すると小屋は留守だったため、私は隠し鍵を見つけて帰ってくるのを待った。まもなく、黒人の使用人ジュピターとともにレグラントが帰ってきた。突然の来訪であったが私は歓迎された。
 レグラントは新種の黄金虫を見つけたということで上機嫌な様子だった。しかしG中尉に出会った際に貸してしまったため、翌朝までは見せることはできないのだと言った。代わりにレグラントは、新種の黄金虫がどうであったかということを伝えるため、ポケットから羊皮紙を取り出すと黄金虫の絵を描いて見せてくれた。


●様子のおかしい友人

 しかしそこには髑髏模様の付いた黄金虫が描かれていたため、私はそのままを伝えると、レグラントは不機嫌になってしまった。レグラントは紙を取り返すと怒って暖炉へと投げ込もうとしたが、突如顔を真っ青に変えて、食い入るように紙を見始めた。そして一通りじっくり眺めた後でレグラントは紙を金庫にしまってしまった。
 その異様な友人の様子を見た私は泊まることなく小屋をあとにした。


●再び友人のもとへ

 一か月後、レグラントの執事・ジュピターが訪ねてきた。
どうやら主人の様子がおかしいということで相談に来たのだという。ジュピターが言うには先日に黄金虫に咬まれてしまったことが原因なのだと語る。さらにジュピターが預かっていたレグラントの手紙には、ぜひ来て欲しいと綴られていた。私は不運が続いたことでついにおかしくなったのかと心配になり、ジュピターとともにレグラントのもとへ向かうことに決めた。


●山中での作業

 不穏な空気のままたどり着くと、レグラントはひどく興奮した様子だった。そしてレグラントは山に一緒に来てほしいと誘ってくる。私は拒絶しようとしたが、それらが全て終わったら医者に行くのだとい約束をさせて私はしぶしぶ山へ向かうことにした。

 登山のすえ大きなユリの木にたどり着くと、レグラントはジュピターに黄金虫を持たせたまま登らせる。
 まもなくジュピターは枝に釘打たれた髑髏を発見する。するとレグラントは虫をぶら下げた糸を髑髏の左目を通して地上に下ろせと指示を飛ばす。
 やがて黄金虫の落下地点に釘を打つと、そこを起点に巻き尺を使って作業を始めるレグラント。まもなく大雑把な円が描かれ、この円を基準に掘っていく言い出すレグランと。私は気は進まなかったが、それだけ早く帰れるということで作業に取り掛かる。しかし周囲を広げ、どれだけ深くほったところで何も出てくることはなかった。


●隠し財宝

 一行にあきらめの念が立ち込めるなか、実はジュピターが左目ではなく右目から糸を垂らしていたことが発覚。
 もう一度測り直して再び堀り作業にかかる。すると今度は二人の骸骨が出てきて、そのあとに長方形の木箱が出てきた。
 中には燦然と輝く黄金や宝石がぎっしり詰まっていた。 三人はそのままにしておくわけには行かないと夜通しで運搬作業を始めた。
 


●財宝をみつけるまでの経緯

 予想を超える宝の山を査定したあとで、レグラントによる財宝発見のネタバラシが始まる。
 暗号の書かれた羊皮紙を手に入れた経緯や、熱の作用によって化合物で書かれた髑髏が浮かびあがったこと、キャプテン・キッドの伝説など、財宝のありかを突き止めていった道すがらをレグラントは雄弁に語るのだった。


●レグラントの”イタズラ”

 そして暗号では本来、黄金虫ではなく弾丸を垂らして作業を行うと記されていたのだが、私がレグラントの正気を疑っている態度が気に入らなかったらしく、ちょっとしたイタズラとして黄金虫を用いたのだとレグランとは語った。


●謎のガイコツ

 最後に出てきた二人の骸骨はいったい何者だったのかという話題になる。一行はキャプテン・キッドが自分の財宝のありかを口止めするために堀り作業員らをそのまま生き埋めにしてしまったのではないかと予想してみるものの、結局真実は分からないまま終わる。






文章抜粋


●もう何年も前に、私はウィリアム・レグラントなる人物と親交を結んだことがある。ユグノー教徒の旧家の出で、かつては裕福な人だったが、不運が重なり貧乏暮らしを余儀なくされた。(冒頭の一文)
 

●ダイヤモンドはーーいくつか飛び抜けて大粒の逸品があったがーー全部で百十個、どのひとつも小さくはない。ルビーは十八個で、すばらしい輝度である。エメラルドは美品ぞろいで三百十個。サファイアが二十一個。一つだけオパール。


●「まだ穴の中にいた連中に、鍬か何かをがんがん振り下ろせば事は済んだろう。もっと何度も殴ったのかもしれないが、そこまでがわからないね」(最後の一文)





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作者について

 エドガー・アラン・ポー

 アメリカの作家。推理小説の祖という呼び声も高い人物であり、日本でも江戸川乱歩や江戸川コナンなど名前の由来となっています。


同じ作者の他作品

小説
  • メッツェンガーシュタイン (Metzengerstein, 1832年) – 映画『世にも怪奇な物語』1967(仏・伊)の第1話「黒馬の哭く館」(監督:ロジェ・ヴァディム 主演:ジェーン・フォンダ、ピーター・フォンダ)。
  • オムレット公爵 (The Duc De L’omelette, 1832年)
  • エルサレムの物語 (A Tale of Jerusalem, 1832年)
  • 息の喪失 (Loss of Breath, 1832年)
  • ボンボン (Bon-Bon, 1832年)
  • 壜のなかの手記 (Ms. Found in a Bottle, 1833年)
  • 約束ごと (The Assignation, 1834年)
  • ベレニス (Berenice, 1835年)
  • モレラ (Morella, 1835年)
  • 名士の群れ (Lionizing, 1835年)
  • ハンス・プファールの無類の冒険 (The Unparalleled Adventure of One Hans Pfaall, 1835年、未完)
  • ペスト王 (King Pest, 1835年)
  • 影 (Shadow, 1835年)
  • 四獣一体 (Four Beasts in One, 1836年)
  • ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語 (The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucket, 1837年)
  • 煙に巻く (Mystification, 1837年)
  • 沈黙 (Silence, 1838年)
  • 鐘楼の悪魔 (The Devil in the belefry, 1839年)
  • 使いきった男 (The Man That Was Used Up, 1839年)
  • ライジーア (Ligeia, 1838年)
  • アッシャー家の崩壊 (The Fall of the House of Usher, 1839年)
  • ウィリアム・ウィルソン (William Wilson, 1839年) – 映画『世にも怪奇な物語』1967(仏・伊)の第2話「影を殺した男」(監督:ルイ・マル 主演:アラン・ドロン、ブリジッド・バルドー )。
  • チビのフランス人は、なぜ手に吊繃帯をしているのか? (Why the Little Frenchman Wears His Hand in a Sling, 1840年)
  • ジューリアス・ロドマンの日記 (Journal of Julius Rodman, 1840年)
  • 実業家 (The Business Man, 1840年)
  • 群集の人 (The Man of the Crowd, 1840年)
  • モルグ街の殺人 The Murders in the Rue Morgue, 1841年)
  • メエルシュトレエムに呑まれて (A Descent into the Maelstrom, 1841年)
  • 妖精の島 (The Island of the Fay, 1841年)
  • 悪魔に首を賭けるな (Never Bet the Devil Your Head, 1841年) – 映画『世にも怪奇な物語』1967(仏・伊)の第3話「悪魔の首飾り」(監督:フェデリコ・フェリーニ 主演:テレンス・スタンプ、サルボ・ランドーネ)。
  • エレオノーラ (Eleonora, 1841年)
  • 週に三度の日曜日 (Three Sundays in a Week, 1841年)
  • 楕円形の肖像 (The Oval Portrait, 1842年)
  • 赤死病の仮面 (The Masque of the Red Death, 1842年)
  • 庭園 (The Landscape Garden, 1842年)
  • マリー・ロジェの謎 The Mystery of Marie Roget, 1842年-1843年)
  • 落とし穴と振り子 (The Pit and the Pendulum, 1842年) – 映画『恐怖の振子』1961(米)の原作の一つ(主演:ヴィンセント・プライス)。
  • 告げ口心臓 (The Tell-Tale Heart, 1843年)
  • 黄金虫 (The Gold Bug, 1843年)
  • 黒猫 (The Black Cat, 1843年)
  • 眼鏡 (The Spectacles, 1844年)
  • 鋸山奇談 (A Tale of the Ragged Mountains, 1844年)
  • 軽気球夢譚 (The Balloon-Hoax, 1844年)
  • 早すぎた埋葬 (The Premature Burial, 1844年) – 「落とし穴と振り子」とともに映画『恐怖の振子』の原作。
  • 催眠術の啓示 (Mesmeric Revelation, 1844年)
  • 長方形の箱 (The Oblong Box, 1844年)
  • 不条理の天使 (The Angel of the Odd, 1850年)
  • お前が犯人だ (Thou Art the Man, 1844年)
  • 盗まれた手紙 The Purloined Letter, 1845年)
  • シェヘラザーデの千二夜の物語 (The Thousand-and-Second Tale of Scheherazade, 1845年)
  • ミイラとの論争 (Some Words with a Mummy, 1845年)
  • 天邪鬼 (The Imp of the Perverse, 1845年)
  • タール博士とフェザー教授の療法 (The System of Dr.Tarr and Prof.Feather, 1845年)
  • ヴァルドマアル氏の病症の真相 (The Facts in the Case of Mr.Valdemar, 1845年)
  • スフィンクス (The Sphinx, 1846年)
  • アモンティリヤアドの酒樽 (The Cask of Amontillado, 1846年)
  • アルンハイムの地所 (The Domain of Arnheim, 1846年)
  • メロンタ・タウタ (Mellonta Tauta, 1849年)
  • 跳び蛙 (Hop-Frog, 1849年)
  • フォン・ケンペレンと彼の発見 (Von Kempelen and His Discovery, 1849年)
  • Xだらけの社説 (X-Ing a Paragraph, 1849年)
  • ランダーの別荘 (Landor’s Cottage, 1849年)


  • アル・アーラーフ(Al Aaraaf, 1829年)
  • アナベル・リー(Annabel Lee, 1849年)
  • 鐘(The Bells, 1849年)
  • 海の中の都市(The City in the Sea, 最終稿1845年)
  • 征服者蛆虫(The Conqueror Worm, 1843年)
  • 夢の中の夢(A Dream Within a Dream, 1849年)
  • エルドラド(Eldorado, 1849年)
  • ユーラリー(Eulalie, 1845年)
  • 幽霊宮殿(The Haunted Palace, 1839年)
  • ヘレンへ(To Helen, 1831年)
  • レノーア(Lenore, 1843年)
  • タマレーン(Tamerlane, 1827年)
  • 大鴉(The Raven, 1845年)
  • ウラリューム(Ulalume, 1847年)

評論・エッセイ
  • メルツェルの将棋差し(Maelzel’s Chess-Player, 1836年)
  • ウィサヒコンの朝(Morning on the Wissahicon, 1846年)
  • ポリシャン(Politian, 1835年) 未完の戯曲
  • 詩作の哲学(The Philosophy of Composition, 1846年)
  • ユリイカ 散文詩(Eureka: A Prose Poem, 1848年)
  • 詩の哲理(The Poetic Principle, 1848年)



同じ年代の有名作品
  • 「クリスマス・キャロル」チャールズ・ディケンズ(イギリス1843)
  • 「パリの秘密」ウージェーヌ・シュー(フランス1843)
  • 「マリア・マグダレーナ」フリードリヒ・ヘッベル(ドイツ1844)

同じ国の有名作家
  • ハーマン・メルヴィル(アメリカ)
  • クリストファー・A・シムズ(アメリカ)



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2.社会データ


歴史的背景



1789-1849年のアメリカwiki:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2_(1789-1849)


社会に与えた影響



●執筆中・・・・



メディア化



現在のところ目立ったメディア化はされていないようです。







3.類推データ


ココがスゴい!


“暗号”要素を組み込んだ実験的作品

 推理小説の祖とも言われているエドガー・アラン・ポー。
この短編では暗号を解くプロセスを文字で起こしていくという難儀な要素を盛り込んでおり、読んでいるこちらもその”複雑さ”を楽しみながら答えへと向かっていけるという点が非常に心地よいです。



似ている名作




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似ている最近の作品



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Author: meisaku

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