「タマンゴ」あらすじと解説・登場人物や舞台 プロスペール・メリメ



ヒトコトあらすじ


 ある黒人奴隷船での反乱を描き、物語の終わりまでにはすべての登場人物が死んでしまうという物語となっています。


スポンサーリンク

●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ





初刊:1884年 :プロスペール・メリメ
長さ:短編 ジャンル:悲劇




キャラクター構成



タマンゴ・・・・黒人奴隷の商人。

アイシェ・・・・タマンゴの妻。

ルドゥー船長・・・・エスペランス号の船長。タマンゴと取引する。


舞台



エスペランス号・・・黒人たちが反旗をひるがえして凄惨な事件の舞台となる商船。



詳しいプロット(展開)



●船乗り・ルドゥー

 船乗りであるルドゥー船長は、黒人奴隷の取引のためにアフリカへとエスペランス号を走らせる。


●交渉成立

 到着したルドゥーは、取引商人であるタマンゴに会う。タマンゴとの交渉のすえ、無事取引は成立し、彼から黒人を買い取る。


 

●売れ残りと女房

 黒人奴隷を買ってもらったタマンゴだったが売れ残った病気や老人・子どもなどを持て余してしまうということでルドゥーに対してブランデー一瓶につき一人などと言い寄る。最終的にはコップ一杯につき一人でいいと譲歩するが、さすがのルドゥーも買い取りきれずに断った。
 するとタマンゴは買ってもらえないのなら銃でひとりずつ殺していくといい、ルドゥーがけしかけるとタマンゴは躊躇なく奴隷を撃ち殺した。
 しかし老人奴隷の番がきたときに、タマンゴの妻・アイシェが止めに入る。アイシェにとってその奴隷は「自分(アイシェ)は未来で女王となる」と占ってくれた魔術師だったため、亭主に殺されるのをためらったのである。
 すると妻の行動に酒に酔っていたせいもあってタマンゴは手をあげる。そしてルドゥーの方へ向いて「この女をあんたにくれてやるよ」といってルドゥーは美人と見るや彼女を受け入れた。
 一方のタマンゴは木陰で酔い醒ましのために寝そべるうちに眠ってしまった。


●妻を追いかける


 タマンゴが目を覚ますと、女房のアイシェがいないことに気づく。まもなく酔った勢いで売ってしまったことに気づくと、タマンゴは近道を使って船に追いつかんとする。

 

●奴隷にされるタマンゴ


 タマンゴは追いつき、エスペランス号にて妻を返してほしいとルドゥーに申し出る。しかしすっかりアイシェを気に入ってしまったルドゥーはどんな条件を出されてもそれを拒否した。
 するとルドゥーのそばに来た船員が「夜のうちに奴隷が三人死んで空きがある」ということと「がっしりしたタマンゴを捕まえれば高く売れる」などと耳打ちし、ルドゥーはそれに乗ることにした。
 格闘のあげく、タマンゴは皮肉にも自らが売りさばいていた商品(奴隷)と同じ身分へと堕ちてしまう。


●反乱


 船倉へ閉じ込められてしまったタマンゴ。初めのころは自分が売り捌いていた奴隷たちとの関係に引け目だったが、見張りの船員たちがだらしなくなっている様子などを見ているうちに、一か八か反乱を起こしてやろうと奴隷たちを焚きつけはじめる。
 


●奴隷たちの復讐


 
そして反乱の時ーー。入念な準備のすえ、タマンゴの合図で奴隷たちが立ち上がる。油断していた船員たちはたちまち惨殺される。その中でタマンゴとルドゥーは一騎打ちとなり、タマンゴがルドゥーの喉笛に喰らいつき、最後にはルドゥーを刺殺した。残りの船員たちはなんとか憐れみを買おうとしたが、奴隷たちによって容赦なく虐殺された。

 


●新たな絶望


 無事に女房を取り戻すタマンゴ。しかし航海術を持っているものはおらず、船員を失ったエスペランス号はそのまま漂い続け、いたずらに時間だけが過ぎていった。試行錯誤の末、カヌーを使って船からの脱出を試みるが、高波によってそれは失敗し、ほとんどがカヌーとともに沈み、母船への退却を余儀なくされた。
 それにより生存者は20人ほどになり、ついに食糧をめぐっての争い、最後にはタマンゴとアイシェを残すばかりとなった。それでもついに食糧が尽き、まもなく妻が先に亡くなる。


●生存者タマンゴ


 どれほどの時間が経ったのか、ベローナ号というイギリス艦が漂うエスペランス号を発見する。そこにはミイラと見紛うほどにやせ細ったタマンゴの姿があった。
 彼は手当てを受けてすっかり元気になる。彼は謀反を起こしたとして縛り首にされるべきとプランテーションの農場主などに言われたが、総督の計らいによってお上に雇われて働くこととなった。彼はなかなかの偉丈夫であり、それなりの英語も身につけた。しかし最後には酒をしこたま飲み、最後は肺炎を起こして亡くなった。

 

 





文章抜粋


●船長ルドゥーは剛腕の船乗りだった。下っ端の水夫から身をおこし、ついで操舵手の見習いになった。(冒頭の一文)


●彼みたいに長らく下っ端の苦労に甘んじた船乗りはめったにないことだが、彼は技術革新への根深い嫌悪をもたなかったし、出世した者にありがちな因習へのこだわりもまったくなかった。

●彼はなかなかの偉丈夫だった。第七十五連隊が彼を見初めて採用し、自分の軍楽隊で鼓手に仕立てた。彼は片言の英語を身につけたが、あまりしゃべらなかった。その一方でラム酒や地酒のタフィアをしこたま飲んでいた。―――彼は肺炎を起こして病気で死んだ。(最後の一文)



スポンサーリンク




2.雑多データ


ココがスゴい!


執筆中…


似ている名作




捜索中…



似ている最近の作品


●捜索中…



メディア化



現在のところ目立ったメディア化はされていないようです。






スポンサーリンク




3.作者データ

 

プロスペール・メリメ

 フランスの作家。「カルメン」などが有名。

 

  • タマンゴ
  • 『堡塁奪取』
  • 『イールのヴィーナス』
  • 『煉獄の魂』
  • 『シャルル11世の幻想』
  • 『トレドの真珠』
  • 『バックギャモンの勝負』
  • 『エトルリアの壺』
  • 『二重の誤解』
  • 『アルセーヌ・ギヨ』
  • 『マテオ・ファルコーネ』
  • 『コロンバ』(1830年  1840年) コルシカ島が舞台
  • 『カルメン』(1847年)- 日本語訳書は多数、リンク先参照
    どれもが波乱と興味深さと独創に満ちたこれらの物語は、メリメが決定的に獲得していた控え目で洗練された文体によって特に洗練された読者層に喜ばれた。
単行本として刊行された『旅行記』や『考古学的視察の報告』の他にも歴史関係では以下の著作があり、一部が訳・出版された。
  • 『ミシェル・セルバンテスの生涯と作品紹介』(1828年)
  • 『階級戦争試論』(1841年)
  • 『カスティーリャ王ドン・ペドロ一世伝』(1843年)
  • 『偽のドミトリー ロシア史の逸話』(1852年)
  • 『歴史・文学論集』(1855年)の一冊に12のさまざまな習作と、『紹介文』『序文』『序説』が収められている。その中でも特に
    • 『二つの遺産』とそれに続く『総監』『探検家の登場』(1853年)
    • 『マリノ・ブレトの短篇と詩篇・序説』(1855年)など。



同じ年代の有名作品
  • 「さまよえるユダヤ人」ウジェーヌ・シュー(フランス1844-1845)
  • 「二十年後」デュマ・ペール(フランス1845)
  • 「貧しき人々」フョードル・ドストエフスキー(ロシア1846)

同じ国の有名作家
  • デュマ・ペール(フランス)
  • オノレ・ド・バルザック(フランス)
  • アレクサンドル・デュマ(フランス)


スポンサーリンク
Author: meisaku

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。