「オーランドー」あらすじと解説・登場人物や舞台 ヴァージニア・ウルフ



ヒトコトあらすじ


 男から女に変わった主人公の物語で、ふたつの性を体験する奇妙な人生を送り、最後には長い人生を振り返りながら感嘆に浸るという物語となっています。


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ





初刊:1928年 :ヴァージニア・ウルフ
長さ:長編 ジャンル:ファンタジー・恋愛・一代記


キャラクター構成



オーランドー・・・・主人公。物語のなかで男から女になる。

ニコラス・グリーン・・・・詩人。オーランドーの友人となる。

サーシャ・・・・オーランドーが駆け落ちのような関係になるロシアの姫君。

ハリエット皇女・・・・ルーマニアの皇女。あまり見てくれが良くない。オーランドーにゾッコン。

シェルマーダイン・・・・郷士。女になったオーランドーの夫となる。



舞台


イングランド・・・現イギリスを構成する一地域。オーランドーの出身地。

コンスタンティノープル・・・現トルコの首都。ハリエット皇女から逃れるためにオーランドーが派遣された地。



詳しいプロット(展開)


●貴族・オーランドー

  オーランドーは代々続く貴族の家系に生まれた。先祖は武勇を誇るような武闘派であったが、オーランドーの場合は、美しい見た目も相まって荒事は好まず、文学へ傾倒するような人物であった。
 彼は故郷にある樫の木の下で瞑想しているのが好きだった。


●エリザベス女王の寵愛

 ある時、いつものように樫の木で寝ていると、トランペットの音ともにエリザベス女王がやってくる。オーランドーはあわてて戻り、エリザベス女王をもてなすための準備をする。
 まもなくエリザベス女王に気に入られることとなり、オーランドーの父は息子のおかげで大きな館を譲り受けた。


●宮廷の使いとなる

 2年後、エリザベス女王の命を受け、オーランドーは宮廷で働くようになった。そこでキャリアを積んだオーランドーは大蔵卿になるなどの出世を果たしていく。しかしいっぽうで女性関係がだらしなかったため、女王に愛想を尽かされることとなる。


●サーシャとの失恋

 ある時、イングランドに大寒波が訪れる。その冷気はテムズ川を凍らせてしまうほどであった。そこでジェームズ新王はテムズ川での氷上祭りを開催する。
 祭りにいたオーランドーはそこでロシアの姫君・サーシャと出会い、仲を深めたあとで駆け落ちを決意する。
 しかし駆け落ちを決めていたにも関わらず、急激な雨によって氷が溶け、サーシャは出港したロシア船に乗って本国に帰ってしまった。サーシャに裏切られたことを知り、オーランドーは悲嘆に暮れる。


●友人・ニコラス・グリーンとの出会い

 失恋後、オーランドーは引きこもるようになり、色々な本などを読み漁っているうちに詩人になりたいと思うようになる。
 そこでオーランドーは有名な詩人ニコラス・グリーンを館に呼び寄せ、詩に関することなどを休む間もなく教えてもらう。
 そしてオーランドーはグリーンに自分の詩を査定してもらいたいと考えたが、前々から田舎に帰りたいと願っていたグリーンはロンドンへと帰ってしまう。


●ハリエット皇女との出会い

 その後も生きることの意味について考えるオーランドー。今度は物質的なことで人生の満足を満たそうと考え、館の改装をするために旅に出たりする。
 そんな生活を送っていたある日、ハリエット皇女という人物に会い、彼女に好かれてしまう。しかし皇女を好きになれないオーランドは、うっとおしい彼女から離れるために、国王に頼み込んでコンスタンティノープル(トルコ首都)への派遣を頼む。


●コンスタンティノープルでの生活

 要望通り、コンスタンティノープルへ派遣されるオーランドーであったが、遠く離れた地での生活は退屈であった。退屈を紛らわすために変装して街を徘徊するなど、奇妙なことをしながら過ごしたりした。
 しかし仕事はしっかりこなしていたので、しっかりと出世も果たすオーランドーであった。


●オーランドー、女になる

 そんななか、トルコ国民の蜂起が起こる。オーランドーの自宅も暴徒に襲撃されるが、オーランドーは死んだように眠っていたため、モノを奪われるだけで命は奪われなかった。
 しかし、蜂起後もオーランドーは目覚めることはなく、秘書官たちがそのうちに身辺を調べたところロ、ジータ・ペピータという人物との婚姻届が見つかったりする。
 そして7日後、ふと目を覚ましたオーランドーは、自分が麗しい女になっていることに気づく。


●女性を体験

 女になったオーランドーはコンスタンティノープルを後にして、故郷であるイギリスへ船で戻る。
 その船上で、女性には女性ゆえの縛りや特権があるといった事を身をもって知ることとなる(しっかり着飾ったりしておかなければならなかったり、男性にエスコートしてもらったりできるなどといった、男性のときには味わえなかった多くのことを体験する)。


●息子らとの裁判

 イギリスへ到着したオーランドー。しかし自分の財産が差し押さえられていることを知る。なぜならかつての婚約者ロジータとの間の息子3人が相続する権利を主張しているなどといった経緯があったのだ。
 オーランドーはその後も息子らとの遺産相続の裁判を続けていくことになる。


●社交界での経験

 ふたたびハリエット皇女が登場。男装までして求婚してくるが、オーランドーはそれをなんとか躱す。
 そしてオーランドーは女性として社交会での経験を積むことを決意し、ロンドンへ向かう。しかし、いざ社交界へ行ってみると、女性との付き合いはおなじことの繰り返しで、男性的な感覚も持っていたオーランドーはすぐに飽きてしまう。


●シェルマーダインとの血痕

 時は過ぎ、ヴィクトリア朝の時代を迎える。ヴィクトリア朝の影響で、世の女性らは結婚に躍起になっていた。
 元男ではあるがオーランドーもその例に漏れず、その病にかかってしまい、最終的にシェルマーダインという郷士と結婚する。そして結婚指輪を手にしたことで、女性としての社会的地位を得た。いっぽう子息との裁判にも勝利したが、かさんだ裁判費用によって、オーランドーはもはや金持ちでなくなっていた。


●ニコラス・グリーンとの再会

 ロンドンへ出かけた時、かつての友人グリーンに再会する。グリーンはオーランドーが兼ねてから書き溜めていた 「樫の木」の出版をしようと申し出てきた。そのような出来事を経た、オーランドはこれまでの人生を振り返りはじめる。そしてエリザベス女王、ハリエット皇女・ニコラス・グリーンといった、過去の様々な出来事や人々のことを思い出しながら過去のあらゆる経験が、今の自分を形成していることを実感するようになる。


●人生を振り返って

 彼女は故郷へ帰り、かつての樫の木の下で思想に耽っていた。300年前、エリザベスに出会い、そこからの長い人生を思い返しながら、昔と変わらぬ大時計の音を聞いていた。するとまもなく空から轟音がしてくる。それは飛行機に乗ったシェルマーダインが帰ってくる音だった。 




文章抜粋


●彼はーーといっても、当時の服装からしてなにか性別さだからぬ様子ではあるのだが、男であることは間違いないーー垂木にぶら下げてあるムーア人の首に向って剣をふるっているところであった。(冒頭の一文)



●そして、今やたくましく、元気いっぱいできびきびと立派なキャプテンになったシェルマーダインが地上に降り立つと、頭上に一羽の野鳥が舞い上った。
「雁だ!荒野の雁だわ……」と、オーランドーは叫んだ。
 すると、真夜中の鐘が時を告げ終わった。千九百二十八年十月十一日、木曜日の真夜中である。(最後の一文)



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2.雑多データ


ココがスゴい!


執筆中…


似ている名作




捜索中…



似ている最近の作品


●捜索中…



メディア化


●オルランド(1992年映画)


1992年にティルダ・スウィントン主演で映画化されています。原作以上に長い年月を描いており、原作との違いを楽しめるようになっています。




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3.作者データ

 ヴァージニア・ウルフ

 イギリスの作家。『ダロウェイ夫人』『オーランドー』などが有名。


長編小説

  • 『マーシェンカ』“Машенька (Mary)” (1926年)
  • 『キング、クイーン、ジャック』“Король, дама, валет (King, Queen, Knave)” (1928年)
  • 『ディフェンス』“Защита Лужина (The Defense)” (1930年)
  • 『目』“Соглядатай (The Eye)” (1930年)
  • 『青春』“Подвиг (Glory)” (1932年)
  • 『カメラ・オブスクーラ』“Камера Обскура” (1932年) – ナボコフ自身の英訳題は『闇の中の笑い』“Laughter in the Dark”
  • 『絶望』“Отчаяние (Despair)” (1936年)
  • 『断頭台への招待』“Приглашение на казнь (Invitation to a Beheading)” (1938年)
  • 『賜物』“Дар (The Gift)” (1938年)
  • 『魅惑者』“Волшебник (The Enchanter)” (1939年)
  • 『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』“The Real Life of Sebastian Knight” (1941年)
  • 『ベンドシニスター』“Bend Sinister” (1947年)
  • 『ロリータ』“Lolita” (1955年)
  • 『プニン』“Pnin” (1957年)
  • 『青白い炎』“Pale Fire” (1962年)
  • 『アーダ』“Ada or Ardor” (1969年)
  • 『透明な対象』“Transparent Things” (1972年)
  • 『道化師をごらん!』“Look at the Harlequins” (1974年)
  • 『ローラ』“The Original of Laura” (未完、1977年)

短編集

  • 『チョールブの帰還』“Возврашение Чорба” (1929年) 
  • 『九つの物語』“Nine Stories” (1947年)
  • 『フィアルタの春』“Весна в Фиальте и Другие рассказы” (1956年)
  • 『ナボコフの一ダース』“Nabokov’s Dozen” (1958年)
  • 『四重奏』“Nabokov’s Quartet” (1966年)
  • 『ロシア美人』“A Russian Beauty and Other Stories” (1973年)
  • 『独裁者殺し』“Tyrants Destroyed and Other Stories” (1975年)
  • 『ロシアに届かなかった手紙』“Details of a Sunset and Other Stories” (1976年)
  • 『ナボコフ短篇全集』“The Stories of Vladimir Nabokov” (1995年)

    批評その他

    • 『ニコライ・ゴーゴリ』“Nikolai Gogol” (1944年)
    • 『記憶よ、語れ』“Conclusive Evidence: A Memoir” (1951年)
    • 『ナボコフ=ウィルソン往復書簡集』“The Nabokov–Wilson Letters” (1979年)
      • 『ヨーロッパ文学講義』“Lectures on Literature” (1980年)
      • 『ロシア文学講義』“Lectures on Russian Literature” (1981年)
      • 『ナボコフのドン・キホーテ講義』“Lectures on Don Quixote” (1983年)
      • 『ナボコフ書簡集』“Selected Letters” (1989年)
      • 『ナボコフの塊 エッセイ集 1921-1975』

      戯曲

      • 『ワルツの発明』“The Waltz Invention” (1938年)

      詩集

      • 『詩集』“Стихи”(私家版、1916年)
      • 『二つの道』“Альманах: Два пути” (1918年)
      • 『房』“Гроздь” (1922年)
      • 『天上界の道』“Возвращение Чорба” (1923年)
      • 『詩集 1929-1951』“Стихотворения 1929-1951” (1952年)
      • 『詩集』“Poems” (1959年)
      • 『詩とチェスプロブレム』“Poems and Problems” (1971年)



      同じ年代の有名作品
      • 「静かなドン」ミハイル・ショーロホフ(ロシア1928)
      • 「大転落」イヴリン・ウォー(イギリス1928)
      • 「奇妙な幕間狂言」ユージン・オニール(アメリカ1928)

      同じ国の有名作家
      • イヴリン・ウォー(イギリス)
      • D・H・ロレンス(イギリス)
      • オルダス・ハクスリー(イギリス)


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      Author: meisaku

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