「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」あらすじと解説・登場人物や舞台 ヘルマン・ボーテ



ヒトコトあらすじ


 ”イタズラ”に人生を捧げた道化男の、生まれてから死ぬまでの逸話をまとめた物語となっています。

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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ




初刊:1510-1511年 :ヘルマン・ボーテ(編纂者)
長さ:短編連作 ジャンル:風刺・喜劇コメディー


キャラクター構成



ティル・オイレンシュピーゲル・・・・主人公。イタズラをしながら巡りゆく放浪者。


舞台



ナイトリンゲン村
・・・オイレンシュピーゲルの故郷。ドイツに現在も存在する地域。



詳しいプロット(展開)



※民伝による彼の逸話を編纂した作品となっており、第1話~第95話の小話があるため、要点のみを抜粋して紹介していきます。

●イタズラ男・オイレンシュピーゲル、誕生

  ザクセンのクナイトリンゲン村、ある夫婦のもとにオイレンシュピゲールは生まれます。生まれてすぐに教会で洗礼を受けるものの、その帰り道、酔っ払ったお産婆ともども川に落ちて泥だらけに。家に帰ってその泥を洗い流したため、一日3回も洗礼を受けることとなりました。
 彼は立って歩けるようなころからいたずら者として振る舞います。まわりからも悪ガキとして名が通るようになります。


●父の死、母の故郷へ

  しばらくしてザーレ川のほとりにある母の故郷へ移住することに。そこで父であるクラウス・オイレンシュピーゲルが死亡。貧しい暮らしをするようになります。しかし年頃になってもオイレンシュピーゲルはふざけてばかりで、いっこうに変わる様子はなかったので、母親は頭を抱える。

その後も彼のイタズラの逸話が続きます。(以下抜粋

☑知恵を働かせてパン屋からパンを盗むことに成功する
☑けちな農民が所有する鶏のエサに糸を付け、エサを引っ張り合うように仕組んで200羽以上の鶏たちにエサの引っ張り合いをさせる
☑蜂の巣箱を盗もうとした泥棒二人組に対し、巣箱のなかに身を潜め、二人が運びはじめたタイミングで前の泥棒の頭を小突いて、後ろの泥棒が殴ったのだと勘違いさせ、巣箱を放り出させる
☑司祭の「この教会はわしのもの。わしならこの教会のどまんなかで糞をたれることだってできる」という言葉を受け、ならばそれができたならばビール一樽を賭けましょうと持ちかける。司祭はバカにするなと教会の真ん中で糞をしてみせるも、オイレンシュピーゲルが教会の寸法を測りはじめ、糞の位置が真ん中からズレていたため、ビール一樽をせしめた …など



●評判となり…

 悪事を働き続けるオイレンシュピーゲルは、いつしか評判になっていく。
 ある時、市のお偉い方に気に入られ、誰もが驚くことをやって見せてくれと言われる。
 オイレンシュピーゲルは参議会堂から飛び降りると宣言。しかし当日、駆け寄った人たちに対して、アホな自分の言葉を信じるとは愚かだなとバカにして見せた。

 オイレンシュピーゲルは相手の身分も関係なしにどんな人物をもイタズラの対象にしていく。

☑司教に気に入られ、司教に仕える博士の高慢な鼻をへし折ることにも一役買ったりする。
☑王侯たちにまで気に入られることとなり、その立場を利用して透明な絵を高額で売りつけたりと、王らが相手でもオイレンシュピゲールは躊躇のないイタズラをし続ける。
☑学者らにも知恵比べなどにも招待されるが、巧みな屁理屈によって学者たちをぐうのでも出なくする。
☑金欠になると、説教師になることを決めて不貞を働く女たちの罪悪感を利用して、たんまり稼いだりもする。
☑ローマ教皇にも拝謁して、巧みな論術で言い負かしたりもする
☑いっぽうである村の司祭の美しい馬を盗んで公衆を喜ばせたり、徒弟にひどい扱いをしている手工業の親方たちを懲らしめたりもする。
☑そのほかにもさまざまなイタズラを起こしますが以下省略…。


●絞首刑の危機

 そのうち長年のイタズラが祟り、ある時捕まった拍子に絞首刑の判決が下ってしまうオイレンシュピーゲル。
 彼は死の間際、一銭もかからない願いを乞い、それを市参議員らに守ると誓わせたあとで、「死後三日間、自分のケツにキスし続けてほしい」と述べた。市参議員らはそれがイヤだったので、泣く泣く彼を釈放することとなった。




●死んでなおもイタズラは続く…

 たくさんのイタズラを続けたオイレンシュピーゲルだったが、次第に年老いて疲れてしまう。後悔の念におそわれ修道院入りしたりもするが、そこでもイタズラ癖が抜けなかったため、追い出される始末。
 やがて病に倒れ命を落とすが。遺言によって自分の遺産は友人、市参事会、司祭らで山分けしてくれ書いていてあったが、遺っていたのは石ころだけだった。すると相続人らは@だれかが先に奪ったのだ!」とひと悶着を起こした。死んでもなお、オイレンシュピーゲルはイタズラ者だった。


 土葬の日、突如として豚が乱入してきて棺が落ちる。その衝撃でうつ伏せの状態のまま埋葬されることになった。
 さらに墓穴へ棺を下ろしているタイミングで綱が切れ、棺が立った状態になってしまった。人々はもう一度やりなおそうとしたが、変わっていた彼のことだから、最期も変わっていたほうが満足するだろうと言い合い、棺は立ったままの状態で埋められた。
 そして墓碑銘には「オイレンシュピゲール、葬られて立つ」 と記されるのだった。



文章抜粋



●ザクセンの国のメルベ(エルム)という森のそばにあるクナイトリンゲン村でオイレンシュピーゲルは生まれました。父はクラウス・オイレンシュピーゲル、母はアン・ヴィプケンといいました。赤子は生まれるとアンプレーベンの村に連れてゆかれ、そこで洗礼を受け、ティル・フォン・オイレンシュピーゲルと名付けられました。(冒頭の一文)




●そこにいた人びとは皆「そのままにしておこう。彼の人生が変わっていたように、死体も変わった姿を望んでいるんでしょう」といいました。こうして皆は墓に土をかけ、彼が足を下にして立ったまま、墓の上に石をおいて、その下半分に梟と梟が爪でもっている鏡を彫り、上半分に文字を彫ったのです。
 何人もこの石を動かすことなかれ
 ここにオイレンシュピーゲル葬られて立つ。(最後の一文)



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2.雑多データ


ココがスゴい!


執筆中…


似ている名作


●一休さん

巧みな理屈で問題を解決したり、さまざまな身分の人々を驚かせたり、助けたり、懲らしめたりする様子は、まさにオイレンシュピーゲルにも通ずるところがあります。また、両者(一休とオイレンシュピーゲル)とも実在していた人物だという部分も類似しています。


似ている最近の作品


●デッドプール(2016映画)


 マーベルコミックス原作のアンチヒーロー映画。アメコミ界隈の登場人物をはじめ、制作スタッフや観客らまでをも嘲笑っていきます。
 どんな対象をもブラックに笑い飛ばす道化ぶりは、まさにイタズラに生きたオイレンシュピーゲルを現代に連想させます。
 2018年には続編「デッドプール2」も制作され、ディズニーへの資本異動などによってさらなる活躍が期待される”イタズラ者”です。


●オイレンシュピーゲル(2007ライトノベル)

 2007年刊行のライトノベル。ジャンルはSFで、「ティル・オイレンシュピーゲル」とは内容こそ異なりますが、作品タイトルに名前が引用されています。「コミック版」も存在します。





メディア化


●Blod Adventure(1956年映画)


1956年にフランス・東ドイツによって映画が制作されています。



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3.作者データ

 ヘルマン・ボーテ

 ドイツの作家。民話にあった「ティル・オイレンシュピーゲル」の逸話などを編纂したとして有名。


同じ年代の有名作品
  • 痴愚神礼讃」デジでリウス・エラスムス(オランダ1511)
  • 狂えるオルランド」ルドヴィーコ・アリオスト(イタリア1516)
  • 「ユートピア」トマス・モア(イギリス1516)

同じ国の有名作家
  • ヴォルフラム・フォン・エンシェンバッハ(ドイツ)
  • フォン・グリンメルス・ハウゼン(ドイツ)
  • ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(ドイツ)


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Author: meisaku

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