ヒトコトあらすじ
戦争を停めるため、戦時下のあらゆる国の女たちが徒党を組んで、夫の下から逃げ出して、抵抗する。そして最後には戦争を辞めさせるに至る、物語となっています。
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●1.基本データ
Lキャラクター構成
L舞台設定
L詳しいプロット(展開)
L文章抜粋
●2.補足データ
Lココがスゴい!
L似ている名作
L似ている最近の作品
Lメディア化
●3.作者について
L同じ年代の有名作品
L同じ国の有名作家
1.基本データ
初刊:紀元前411年 作者:アリストパネス
長さ:長編 ジャンル:喜劇
キャラクター構成
リュシストラテ・・・・アテナイに住む美女・婦人。女性たちを率いる指導者となる。
ラムピト・・・・スパルタの美女。リュシストラテの考えに賛同する。
舞台
アテナイ・・・ギリシャの首都・アテネの古名。
詳しいプロット(展開)
●第二次ペロポネソス戦争
時は第二次ペロポネソス戦争の紀元前。 アテナイとスパルタは戦争状態にあった。
●指導者・リュシストラテ
アテナイに住む、若く美しい婦人・リュシストラテは、アテナイ、スパルタの女たちに召集をかける。 リュシストラテは、女たちが団結することで、男たちの始めた戦争を停めようと考えたのだ。戦争に迷惑していた女たちはリュシストラテの呼びかけに共感。ひとり、また一人と集まっていく。
●同志・ラムピト
リュシストラテは集まった女たちに、自分たちが戦争を辞めるまで、けして夫と寝ないように徒党を組めば、戦争は停められると説いた。 彼女の横暴とも言えるような提案に、反対の意見が飛び交ったが、敵国スパルタの美女・ラムピトが提案に賛成すると、女たちの反乱の声は消え、ここに両国の女たちの協定が結ばれる。
●徹底抗議
リュシストラテ率いる、アテナイの女たちはアクロポリス(アテナイの小高い丘)の神殿で、抗議のための籠城を始める。 アテナイの老人たちは断固として反対して、神殿へ攻撃を仕掛けるが、女たちはそれに耐えてみせる。
●男を打ち負かす女達
今度は、指令を受けた執政官と警官たちが登場。彼女らを捕まえようと乗り込んでくるが、彼らもまた、女性が相手ということもあり気乗りしておらず、そう言った情勢もあり、女たちが勝利する。 リュシストラテは、戦争のたび夫がいなくなり寂しんでいること、自分たちの産んだ子どもが戦争に駆り出されることなど、女性の悲しみを強く代弁してみせる。それを聞いた執政官ら男たちは男としての自分たちを情けなく思った。
●予言
しかし籠城作戦は、時間が経つにつれて内側から瓦解しようとしていた。我慢しきれなくなったいくつかの女たちが脱走を始めたからである。このままでは作戦が失敗に終わってしまうーーそう感じたリュシストラテは、予言などを用いて何とかごまかしながら彼女らを引き留める。
●調停会議
まもなく、ラムピトが作戦を成功させたことで、スパルタから使者がやってくる。両国による調停会議が開かれ、リュシストラテもそこに参加した。彼女は、「両国は互いに素晴らしい伝統を持っていること、他にも外敵はいるのにお互いの街を壊しあっている愚かさ、かつて同盟関係にあった時のように再び仲を取り戻すこと」などといった弁を並べたてた。しかし彼女の尊い心意気とは裏腹に、男たちは彼女の美貌に釘付け。彼女を抱いてみたいと思うばかりだった。男たちは彼女に言われるまま、その要求をすべて呑んだ。
●仲直り
両国で宴会が開かれ、たがいの国は酒を交わし合い、すっかり仲を取り戻した。妻たちは無事夫たちのもとへ帰り、夫たちは満足するのだった。
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文章抜粋
●リュシストラテ「〔独白〕ほんにお酒の神さまのお社に呼ばれたか、パンか愛の女神コリアスさまかゲネテュリスさまのお社にだったら、手太鼓の群れのため通行さえできないところなのにねえ。ところが今はたった一人の女の人さえここにいやしない。と思ったら、ほらあそこにご近所の女(ひと)がやってきたわ」(冒頭の一文)
● 味方の方々、出撃あそばせ、 おおい、種卵野菜売子の方たち! おおい、大蒜接客パン売子の方たち! 組みつき、引きずり、ぶんなぐり、ご加勢あそばせ!悪口雑言、あばずれ振りを発揮あそばせ!(リュシストラテのセリフ)
●あきれた方たちね、だましっこはやめにしましょう。男が恋しいんでしょう。ところで男のほうはあたしたちを恋しがっていないと思っているの?たしかにあの人たちもつらい夜々を送っているのよ。さあ皆さん、辛抱して。も少しのあいだの我慢よ。仲間割れさえしなければ、捷利はわがものというご神託があるんだから。ほらこれよ。 (リュシストラテのセリフ)
2.雑多データ
ココがスゴい!
●フェミニズムの典型
近現代になって、女性の社会進出などが唱えられるようになった今日この頃ですが、暦が始まるよりもはるか前より、女性という存在が持つ影響力や偉大さを説いているこの作品。
古びてなお、その革新性、不変性を落とすことなく名作として君臨し続けている点が、非常に優れていると感じました。
似ている名作
●「女だけの祭り」「女の議会」
今作「女の平和」とともに、アリストパネスの「女物3作」に数えられている二作品。いずれも女性をテーマにした名作となっています。
似ている最近の作品
●たちあがる女(2019年映画)
戦う理由が環境保全という違いがあるものの、女性が正義のために立ち上がる、という構図はかなり似ているかと思います。
メディア化
●1953~56年ごろに一度映画化されているようです。
参考リンク集:
https://eiga.com/movie/66116/
https://moviewalker.jp/mv13576/
https://www.allcinema.net/cinema/4047
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3.作者データ
アリストパネス
エリザベス朝イングランド(イギリス)の作家・劇作家。代表作に「ユーフュイーズ」などがある。
- アカルナイの人々 (紀元前425年)
- 騎士(紀元前424年)
- 雲 (紀元前423年)
- 蜂 (紀元前422年)
- 平和 (紀元前421年)
- 鳥 (紀元前414年)
- 女の平和 (紀元前411年)
- テスモポリア祭を営む女たち(紀元前410年)
- 蛙 (紀元前405年)
- 女の議会(紀元前392年)
- 福の神(紀元前388年)
同じ年代の有名作品
- 「ヘレネ」エウリピデス(古代ギリシア紀元前412年)
- 「ピロクテテス」ソポクレス(古代ギリシア紀元前409年)
- 「キュクロプス」エウリピデス(古代ギリシア紀元前408年)
同じ国の有名作家
- アイスキュロス(古代ギリシア)
- ソポクレス(古代ギリシア)
- エウリピデス(古代ギリシア)
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