ヒトコトあらすじ
孤独に暮らしていた不幸な男が、少女を拾う。彼は少しずつ心を開いていき、最後には幸せに暮らす――という物語になっています。
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●1.基本データ
Lキャラクター構成
L舞台設定
L詳しいプロット(展開)
L文章抜粋
●2.補足データ
Lココがスゴい!
L似ている名作
L似ている最近の作品
Lメディア化
●3.作者について
L同じ年代の有名作品
L同じ国の有名作家
1.基本データ
初刊:1861年 作者:ジョージ・エリオット
長さ:長編 ジャンル:ヒューマン
キャラクター構成
サイラス・マーナー・・・・本作の主人公。孤独な男。
エピー・・・・ゴトフリーとモリーの娘。サイラスに引き取られ、育てられる。
ゴドフリー・カス・・・・カス家の長男。
ダンストン・カス・・・・ゴトフリーの弟。
ナンシー・ラメター・・・・ゴトフリーの妻。
モリー・・・・ゴトフリーの最初の妻。酒場女。
ドリー・ウィンスロップ・・・・サイラスを心配して通うようになった子持ちの女。
ドリー・ウィンスロップ・・・・ドリーの息子。のちのエピーの夫。
舞台
ラヴィロウ・・・サイラス・マーナーが住んでいる町。
ランタン・ヤード・・・かつてサイラス・マーナーが住んでいた町。
※いずれもイングランド
詳しいプロット(展開)
●不幸な男・サイラス
織工サイラス・マーナーはラヴィロウという小さな村に暮らす孤独な男である。
彼はかつてランタン・ヤードという地に住んでいたが、親友ウィリアムに裏切られたという過去から、人との関わりを避ける人間になっていた。ウィリアムは盗みの罪をサイラスに着せた上に、それを教会に認めさせた上、あげく彼の恋人・セアラまでをも奪ったのである。
ランタン・ヤードから逃げ去り、ラヴィロウに来てから既に10年以上。
サイラスは長年の織工作業によってひどい近眼でもあり、視力すら無いという、不憫な境遇にあった。
そんな彼の楽しみといえば、織工で貯めた隠し金を、毎晩愛でることぐらいだった。
●カス家の悪兄弟
ラヴィロウには「カス家」という金持ちの地主が存在していた。 カス家には息子が2人おり、兄はゴトフリー、弟はダンスタンと言ったが、いずれも問題を抱えていた。
兄ゴトフリーはナンシー・ラメターという婚約者がいるにも関わらず、勢いでモリーという酒場女と結婚していた。
ダンスタンも賭博に夢中で、かなりの借金をこさえていた。 金を工面するためにダンスタンは、兄を結婚の件で脅して、彼のお気に入りの馬を売らせようと強要する。
●金を盗まれる
優柔不断なゴトフリーは泣く泣く馬を売ることにしたが、ダンスタンに売り買いの手筈を任せたところ、柵の飛び越えに失敗して、馬が死んでしまう。
困り果てたダンスタンは、サイラス・マーナーという男が金を隠し持っているという噂にすがり、彼の小屋に侵入する。
まもなく彼はサイラスの隠し財産を探し当てるとそのまま遠くへ出て行った。
●犯人は見つからず…
まもなくサイラスは、自分の財産が消えたことに気づいて騒ぎ立てる。それによりサイラスが盗みに入られたことは周囲にも知られることになったが、犯人であるダンスタンが消えた事に関しては、誰も怪しく思わなかった。
なぜなら彼は普段から風来坊でしょっちゅういなくなるからである。
●ゴトフリー、不貞を見つかる
いっぽう馬までをも弟に奪われたゴトフリーは父親に全てを打ち明ける。弟に金を借していること、馬が死んでしまったこと、何よりすでに結婚していること。
全てを打ち明けると父親は何とか許してくれたが、ナンシーとの婚約は解消せざるを得なくなるが、優柔不断な彼はなかなか決断できず、うやむやな状態のまま日常を続ける。
●ウィンスロップ親子
金を失ったサイラスは途方に暮れていた。
そこへ同情してやってきたのは、ドリー・ウィンスロップという女性とその息子エアロンだった。
彼女らは定期的にサイラスのもとにやってくるようになった。
●贈り物の前ぶれ
大晦日。
除夜の鐘を聞くことができればお金が戻ってくるーーという村人たちの冗談を信じたサイラスはその日、小屋の窓を開けっ放しにして、鐘が聞こえてくるのを待ち望んでいた。
●金髪の少女
カス家では大晦日の舞踏会が行われており、子息ゴトフリーも参加していた。
しかしその妻であるモリーは、その祭日に、自らをぞんざいにする彼に復讐を企てていた。
彼女は彼との間にできた娘と会に乗り込むことで、彼の面目を潰してやろうと考えたのだ。
しかしアヘン中毒者だったモリーは、サイラスの小屋の近くで倒れてしまう。母が動かなくなり、モリーの娘は空いていた小屋窓から中に侵入した。
サイラスは金の煌めきを感じて、お金が戻ってきたと思ったが、それは娘の美しい金髪だった。サイラスは金髪娘の足跡をたどり、母モリーの死体を見つける。
そしてサイラスは遺された娘の面倒を見始めた。
●ゴトフリー、妻の死を隠蔽
カス家の宴会場。
金髪娘を抱いたサイラスが現れる。彼が「死体を見つけた」と言うと、ゴトフリーが金髪娘が自分の子であることを直感して、同時にモリーがここに現れたらどうしようという恐怖にかられた。 しかしパーティの参加者らとともに死体現場に向かうと、そこにモリーの死体があったため、ゴトフリーは内心喜んだ。
ゴトフリーは金髪娘が自分の娘だとして引き取りたかったが、真実を知られ、自分の不貞が公になる事を恐れた。
●サイラスの娘・エピー
ゴトフリーの娘はサイラスに引き取られることになり、彼はドリーの指導も受けながら、金髪娘を真摯に世話するようになった。 娘はサイラスの亡き妹の名を則って、「エピー」と名付けられた。彼女は良い娘として育っていった。サイラスは彼女の成長を見られるのがなにより幸福だった。
●血の繋がった娘
16年の歳月が過ぎた。
ゴトフリーはナンシーと結婚していたが、子どもに恵まれなかった。彼はエピーを引き取りたいと考えていたが、妻は養子に対して否定的で、かといって真実を告げる勇気も無かった。
そんな折、行方不明だった弟・ダンスタンの遺体発見される。
そこには彼が盗んだであろうサイラスの金もあり、ゴトフリーはそれに運命的なものを感じて、妻にエピーとの関係を打ち明ける日が来たと悟る。そして妻にモリーやエピーの事を打ち明けると、ナンシーはすぐさまエピーを引き取りたいと言い出した。
そして夫妻はサイラスのもとへ向かう事になる。
●エピーの決断
ゴトフリー夫妻はエピーを説得しにかかるが、エピーは頑としてサイラスのもとから離れようとしない。
そこでゴトフリーは自分たちのもとに来れば贅沢な暮らしが出来ること、何より血の繋がった肉親であることなどを強調した。
いっぽうのサイラスも、なぜ元妻モリーの遺体を見つけたときに、親だと名乗り出なかったなどと言い、反論した。
結局、最後はエピー本人に判断を委ねることとなり、エピーはサイラスの手をしっかりと握った。
●消えていた悪名
ゴトフリーとの一件を終え、サイラスはエピーとともにかつての故郷ランタン・ヤードに向かった。
彼は過去の汚名をいまだに気にしており、その確認のために向かったのだ。
しかしランタン・ヤードからはすっかり自分の悪い噂は消えていた。
●幸福な男・サイラス
まもなくエピーはドリーの息子であるエアロンと結婚した。
二人はカス家によって改築されたサイラスの小屋に共に住む事となる。
こうしてかつては孤独で不幸な男だったサイラスは、家族に恵まれて幸せに暮らすのだった。
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文章抜粋
●その昔、農家のうちで紡ぎ車がせわしない音をひびかせていたころーー綿レースや絹地を身にまとった身分の高い婦人方まで、樫材を磨きあげた紡ぎ車のおもちゃをもっていたような時代ーー村の小道の奥まったあたりや丘の中腹を、青白い顔の小柄な男たちがさまよっていたものだ。逞しい村のひとたちにくらべると、その姿はまるで絶えてしまった民族の生き残りのように、はかなげに見えた。
2.雑多データ
ココがスゴい!
●男版のシンデレラ・ストーリー
男を主人公としたシンデレラ・ストーリーの構造をとっており、前半はさまざまな不幸と凄惨な過去が語られますが、後半では徐々に彼が報われていきます。古典から続く定番の流れが組み込まれている、心温まる作品となっています。
似ている名作
●レ・ミゼラブル(1862年小説)
不幸な境遇の男が少女を拾ったのを境に幸福に恵まれていくーーという大筋の流れは、どこか近しいものを感じます。また、発刊年度などもかなり近いです。
似ている最近の作品
●パパとマチルダ(1994年映画)
1994年に今作を現代風アレンジしたこの映画が制作されています。
メディア化
●Silas Marner: The Weaver of Raveloe(1985年映画)
1985年制作の映画リンクを貼っておきますが、過去にも何度も映画化されているようです。
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3.作者データ
ジョージ・エリオット
イギリスの作家。代表作に「サイラス・マーナー」「ミドル・マーチ」などがある。
長編小説
- 牧師館物語(Scenes of Clerical Life、1857)
- アダム・ビード(Adam Bede、1859)
- フロス河の水車場(The Mill on the Floss、1860)
- サイラス・マーナー(Silas Marner、1861)
- ロモラ(Romola、1863)
- 急進主義者フィーリクス・ホルト(Felix Holt, the Radical、1866)
- ミドルマーチ(Middlemarch、1871-1872)
- ダニエル・デロンダ(Daniel Deronda、1876)
- テオフラストス・サッチの印象(Impressions of Theophrastus Such 1879)
短編小説
- とばりの彼方(The Lifted Veil、1859)
- ジェイコブ兄貴(Brother Jacob、1864)
同じ年代の有名作品
- 「大いなる遺産」チャールズ・ディケンズ(イギリス1860-1861)
- 「サラムボオ」ギュスターヴ・フローベール(フランス1862)
- 「父と子」イワン・ツルゲーネフ(ロシア1862)
同じ国の有名作家
- チャールズ・ディケンズ(イギリス)
- チャールズ・キングズリー(イギリス)
- ジョージ・メレディス(イギリス)
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