「ボヴァリー夫人」あらすじと解説・登場人物や舞台 ギュスターヴ・フローベール



ヒトコトあらすじ


 平凡な男・ボヴァリーに嫁いだ主人公・エマの不貞の数々と悲劇が描かれる物語となっています。


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ




初刊:1857年 :ギュスターヴ・フローベール
長さ:長編 ジャンル:恋愛・悲劇


キャラクター構成



エマ・・・・主人公。医師シャルル・ボヴァリーの妻。

シャルル・ボヴァリー・・・・エマの夫。医師。鈍感な男。

レオン・・・・弁護士志望の青年。エマの不倫相手。

ロドルフ・・・・地主。エマの不倫相手。

ルウルー・・・・商人。エマなどに金を借したりして暗躍する。

ベルト・・・・エマとシャルルの娘。

エロイーズ・・・・シャルルの元妻。序盤で亡くなる。


舞台


ヨンヴィル=ラベイ・・・フランスにある土地。ボヴァリー夫妻が移り住む場所。ノルマンディー地方・リー。

ルーアン・・・フランスにある都市。




詳しいプロット(展開)



●平凡な男・シャルル

シャルル・ボヴァリーはいたって平凡な青年だった。しかし両親に命じられるまま医者の道を選び、なんとか合格することに成功する。

●未亡人との結婚

シャルルは両親に従順であり、資産目当てで未亡人エロイーズと結婚する。見た目もそれほど良くない、束縛が激しい、そして偉そうなエロイーズとの結婚生活にシャルルは失望する。

●シャルルとエマ、出逢う

シャルルは農場主ルオーのもとへ往診へ行った時、その娘、そして主人公であるエマに出会う。エマの美貌にすっかり惚れてしまったシャルル。努めて往診に通うようになる。しかし束縛の強いエロイーズに感づかれ、シャルルはルオーの元へ行かない誓いを立てさせられた。

●エロイーズの死

 ある日、エロイーズの財産管理人が高飛び。エロイーズは財産を失ってしまい、彼女の財産目当てで息子を結婚させたシャルルの両親に責めたてられる。それらが苦になったエロイーズは体調を崩してしまい、あげく死んでしまう。

●結ばれる二人

エロイーズとの結婚生活から解放されて、シャルルは心置きなくルオーの家、およびエマのもとへ通い詰めるようになる。そしてルオーの後押しもあって、シャルルとエマは結婚する。

●不満を抱くエマ

シャルルのほうはエマを情熱的に愛したが、エマのほうはすぐに結婚生活に不満を感じ始める。というのも彼女は、修道院時代にさまざまなロマンチックな恋愛物語に心酔していたという事もあり、現実の結婚の平凡さを快く思えなかったからである。

●鈍感な夫

ある時、シャルルが城の舞踏会に招待される。妻であるエマも参加することになりその綺羅びやかな世界に魅了された。同時に自分の生活とはあまりにかけ離れていたことで、さらに結婚生活への不満をつのらせていく。エマはこれまで以上に憂鬱な態度を取るようになった。しかし察しの悪いシャルルは、妻が自分との結婚生活に失望していることに気づくことはなかった。 妻の体調不良の原因を見いだせないシャルルは、知人の医者にエマを診せるためにヨンヴィル=ラベイという村に引っ越すことを決める。そしてエマはこのとき、すでにシャルルとの間に子どもを身ごもっていた。

●青年との恋

ヨンヴィルでの新生活もはじまり、エマは無事に娘ベルトを出産する。しかしエマは娘に対して愛情を抱く事ができず、基本は乳母に預けきりだった。彼女は新たな地で出会った書紀の青年レオンに惹かれていた。レオンのほうもエマを愛すようになり、ふたりはまもなく手紙のやりとりなどをするようになり、周囲でも噂になる。しかし相変わらず鈍感なシャルルは、妻の不倫を知る由もない。 しかし煮え切らない関係が続いたことで関係に飽きたレオンは、パリに勉強へ向かうために去ってしまう。エマは彼に身体を許さなかったことなどを後悔しながら、また元の退屈な生活に戻った。

●成熟した男との恋

小作人の診療のため、ロドルフという三十代紳士がやってくる。青年のレオンとは違い、経験豊富な彼は、美しいエマが結婚生活に不満を持っていることを見抜く。そしてすぐにアプローチする。エマはすっかり彼に心酔して、焦らしに焦らされたあげく、ある時、ついに彼に身体を許す。エマはこれまでにない高揚にえらく感動した。

●悔い改めるエマ

しかし時間が過ぎるにつれ、関係に飽きたロドルフは素気ない態度をとる。そんななかでエマは父親からの純朴な愛の込められた手紙を見た事で、自分の乱れた生活を悔い改める。そしてこれまで愛情を抱かなかった娘ともよく過ごすようになった。

●うだつの上がらない夫

そんななかで夫・シャルルが医者としての名誉を得るため、一世一代の手術を行う。しかし見事に失敗。患者は医療ミスによって、かえって片足を切除する事態となる。この一件によって、改心しようとしていたエマの心は、ふたたび愛の逃避行へと向かう。

●ロドルフの裏切り

エマは再びロドルフと愛し合うようになり、今度は知り合いの商人ルウルーに高い贈り物まで用意してもらうようになり、夫には秘密で借金を膨らませていく。
 そして彼女はある時、ロドルフに駆け落ちを申し出る。ロドルフは承諾するがいざ土壇場になって彼から別れの手紙が届く。愛を喪失したエマは脳炎を患う。生死を彷徨うが、夫の看病によって一命を取り留める。シャルルは看病のあいだ仕事が出来なかったため、商人ルウルーから借金をする。

●レオンとの再会

しばらくするとエマは回復。病床の苦しみのなかで改心したエマはロドルフとの思い出を断ち切り、家庭に尽くすことを決める。しかしルーアンに観劇を観に出かけに行った際、かつて恋焦がれたレオンと再会する。二人の愛はすぐに再燃して、エマは何かと理由を付けて、ルーアンへ通うようになった。 だがある時レオンとの密会から帰ると、シャルルの父の訃報が届いていたことを知る。しかしエマは遺産相続に関して、法律のプロであるレオンに相談しにいくとして、それすらも巧みにレオンに会う口実として利用する。だがそうしてルーアンで彼を過ごしている姿を運悪く商人ルウルーに目撃されてしまい、弱みを握られたエマ。彼に吹き込まれてシャルルの父の遺産を勝手に売却、あげく高額の借金をすることになる。だがそれをシャルルに相談することはできず、借金はどんどん膨れ上がっていった。

●借金地獄

借金に追い詰められ、空しさを感じながらもレオンにしがみつこうとするエマ。しかしいっぽうのレオンは彼女との関係を冷めた目で見るようになっていった。 そんななかでついに差し押さえの通知が届く。 エマに多額の借金を返す術はなく、ついに町に負債広告が出てしまい、ついにシャルルに知られるのは時間の問題という状況に追い込まれるエマ。公証人やかつての恋人ロドルフなど、金の当てを探し訪ねるがうまくは行かなかった。

●毒自殺

借金を返す事もできず、夫の元へ帰ることも拒んだエマは薬局に向かい、ヒ素を手に入れて持ち帰る。そして彼女はそれを飲み、悶え苦しむ。ちょうどそこにシャルルが旅から戻って来るが、治療虚しくエマは命を落とした。

●シャルルの最期

妻を亡くしてすっかり憔悴したシャルル。それからは医師の仕事もほとんどせずに引きこもるようになった。後に彼女がやりとりした手紙なども見つかり、彼女の不貞も知る事となり、さらに精神的にも追い詰められる。結局彼は遺された借金も返済し切る事なくこの世を去った。

●遺されたひとり娘

そんな両親のもとに生まれた娘ベルトに遺されたのはわずかな金銭のみだった。身寄りの居なくなったベルトは女工として日々働いている。





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文章抜粋


●私たちが自習室で勉強していると、そこへ校長が、平服を着た「新人」と、大きな机をかついだ小使を連れてはいってきた。いねむりしていた連中は目をさました。そして誰も彼もが勉強中に不意を打たれた体で起立した。(冒頭の一文)




2.雑多データ


ココがスゴい!


●捜索中…


似ている名作


●アンナ・カレーニナ

>>解説記事へ
ロシアのトルストイによって書かれた恋愛悲劇の名作。恋に溺れた夫人が最終的に命を絶つという流れがかなり似ています。ちなみに出版は今作のほうが約20年ほど早いです。


似ている最近の作品


●捜索中…


メディア化


●ボヴァリー夫人(2014年映画)

 2014年にアメリカ・ドイツ・ベルギーの合作によって映画化されています。




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3.作者データ

ギュスターヴ・フローベール


フランスの小説家。代表作に『ボヴァリー夫人』『サランボー』『感情教育』などがある。

    • 狂人の手記(Mémoires d’un fou 、1838年)
    • 十一月(November、1842年)
    • ボヴァリー夫人(Madame Bovary 、1857年) 
    • サランボー(Salammbô、1862年)
    • 感情教育(L’Éducation sentimentale、1869年) 
    • 聖アントワーヌの誘惑(La Tentation de Saint Antoine、1874年)
    • 三つの物語(Trois contes、1877年)「純な心」「聖ジュリアン伝」「ヘロディア」の3篇
    • ブヴァールとペキュシェ(Bouvart et Pécuchet、1881年)
    • 紋切型辞典(Dictionnaire des idées reçues 遺作)  
    同じ年代の有名作品
    • 「信用詐欺師」ハーマン・メルヴィル(アメリカ1857年)
    • 「教授」シャーロット・ブロンテ(イギリス1857年)
    • 「日向丘の少女」ビョルンスティエルネ・ビョルンソン(ノルウェー1857年)
    同じ国の有名作家
    • スタンダール(フランス)
    • ジェラール・ド・ネルヴァル(フランス)
    • アルフレッド・ド・ミュッセ(フランス)


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    Author: meisaku

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