「死せる魂」あらすじと解説・登場人物や舞台 ニコライ・ゴーゴリ



ヒトコトあらすじ



ロシア農奴制のなかで、その仕組みを利用して成り上がろうとする主人公チーチコフを中心に、堕落した様々な地主や、個性的な農奴たちの生活が描写され、営みのなかで人間性を失い「死せる魂」となった者たちを描く物語となっています。(未完の作品)


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ




初刊:1842-1855年 :ニコライ・ゴーゴリ
長さ:長編 ジャンル:社会風刺


キャラクター構成



チーチコフ・・・・主人公の男。農奴制の抜け穴を利用して地位を築こうとする。

ノズドリョフ・・・・荒くれ者。

ムラーゾフ・・・・徴税代弁人。

マニーロフ・・・・腰の低い地主。

ローボチカ・・・・女地主。

サバゲーヴィッチ・・・・品のない地主。

プリューシキン・・・・ケチな地主。

プラトーノフ・・・・出会う青年。

ワシーリイ・・・・プラトーノフの兄。

レニーツィン・・・・ワシーリイの隣人。

フロブーエフ・・・・ワシーリイと領地問題で揉めている人物。


舞台


ロシアの田舎・・・物語の舞台。



詳しいプロット(展開)



●卑しい主人公・チーチコフ

 主人公チーチコフは個性的な従者たちと共に、地主との交渉のために各地を回っていた。 時は農奴制のある19世紀ロシア。
 当時の農奴の戸籍というのは約10年ほどの周期で更新される仕組みとなっていた。そこに目をつけたチーチコフは、更新の間に死んだり逃亡したり戸籍上にしか存在しない農奴をかき集めることで表面上多くの農奴を所有。そして社会的信用を得て、金の借り入れや縁談などといった事をより優位に進めようと考えていたのである。

●腰の低い地主・マニーロフ


はじめにチーチコフは、マニーロフという「腰の低い」地主との交渉に向かう。チーチコフは人の良いマニーロフの人格を上手く利用して、世の中の為にもなるなど、様々な理由をこじつけて、彼から農奴らの権利を買い取ることに成功した。

●女地主・ローボチカ


次にチーチコフは女地主のローボチカとの交渉に向かう。彼女は「農産物を売ることに生き甲斐」を持つ堅気な人物だったため、書類のごまかしなどに加担するような事を拒絶した。しかし粘り強くチーチコフが説得した事で彼女からも権利を買い取った。

●荒くれ者・ノズドリョフ


次に立ち寄った旅籠屋でノズドリョフという荒くれ男に出遭う。チーチコフは地主から消えた農奴を集めて、社会的信用を得たり、良い家の娘などと結婚するのだなどという事をノズドリョフに伝えるが彼は信じない。そればかりかノズドリョフは賭け事が好きでチーチコフに無理やり賭けをやらせようとするが、幸いにも彼の普段の素行の悪さをマークしていた警察がやってきて彼が連行された事でチーチコフは難を逃れた。

●品のない地主・サバゲーヴィッチ


次にサバゲーヴィッチという「悪口好きな品のない」地主の交渉に向かう。彼は農奴を売ることには応じたが法外な値段をふっかけてきた。チーチコフは何とか交渉を続けるが、最終的には割高な値段で農奴の権利を買い取った。

●ケチな地主・プリューシキン


次にプリューシキンという「ケチな」地主の交渉に向かう。彼は農奴にまともに飯も与えないだけでなく、自分の生活すらも切り詰め、ボロボロの格好で過ごしているような男だったため、地域では有名だった。金好きな彼は、すでに金にならない農奴の権利を売ることで儲けられるならそれに越したことは無いとすぐにチーチコフと取引した。

●逃げる、チーチコフ


プリューシキンの紹介で、裁判所長グリゴリーヴィッチと知り合ったチーチコフは早速、農奴の権利を合法化する手続きを進めていた。 しかしそこへいつか会ったノズドリョフが登場。 ノズドリョフはチーチコフが農奴の権利を使って社会的地位を得て様々なごまかしを企てている事を人々に言いふらし始める。 風邪をひいて寝込んでいたチーチコフが全快して外へ出てみると自分の悪い噂で持ちきりなってしまっていた。 居づらくなったチーチコフは馬車をめいいっぱい飛ばして街を去るのだった。

●地主・チェンチェトニコフ


二部に入る。 少し時は経ち、チーチコフはチェンチェトニコフという地主のもとを訪ねる。彼は何をやっても続かない人物で、恋や仕事なにをやっても上手くいかず、現在は物書きになると言いながらいつまで経っても何もしない独身男である。 彼は隣に住む将軍の娘に恋をしていたが、父親との折り合いが合わずに、挫折していた。そのような状況を把握したチーチコフは将軍と仲直りするようにチェンチェトニコフに持ちかけ、ついでに将軍に農奴の取引を持ちかけ、器用に成立させた。

●青年・プラトーノフ


次にチーチコフはペトゥーフという気前のいい男と出会い、食事を振舞ってもらう。そこでプラトーノフという青年と出会い、彼の親戚である裕福な地主・コスタンジョーグロと繋がる。彼はチーチコフの提案に乗ると、彼の隣人フロブーエフという地主の領地を買い取る資金を貸し付けてくれた。チーチコフはその金でフロブーエフの領地を買う事に成功する。

●捕まるチーチコフ


チーチコフはプラトノーフの兄・ワシーリイに出会う。彼はレニーツィンという男と領地の問題で揉めており、チーチコフはそのゴタゴタに首を突っ込むが、その過程でチーチコフの過去の所業が調べ上げられてしまい、彼は牢獄に入れられてしまう。

●生まれ変わったチーチコフ


徴税代弁人ムラーゾフは、チーチコフの姑息な事ばかりに執着してきた、彼の憐れな人生に同情する。そこで彼は色々と手を回して、チーチコフが改心するならば釈放されるように手を回してやると提言する。 チーチコフは「農奴の魂(死せる魂)よりも、自分自身の魂を大切にするべきだと諭され、気持ちを改める。そして釈放されたチーチコフは、商人たちと共に新たな旅に出るのだった。





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文章抜粋


●捜索中…




2.雑多データ


ココがスゴい!


●タイトルに込められた二重の意味

ゴーゴリの最高傑作という呼び声も高く、死せる魂というタイトルは農奴の魂という意味だけでなく、農奴制という非人道的な制度のなかで、人間的な心、つまり魂を失った地主たちの事も指していると言われています。当時のロシアが抱えていた問題を包括的に描かれている部分が、今作がゴーゴリの代表作と言われる理由の一つと言われています。


似ている名作


●星の王子さま(サン・テグジュペリ)

主人公が、何かに執着して問題を抱えている様々な人物をめぐり歩き、網羅的にそれらを風刺していくという形式に関して似ている作品かなと思います。


似ている最近の作品


●捜索中…

メディア化


●捜索中…




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3.作者データ

ニコライ・ゴーゴリ

 ロシアの作家・劇作家。『外套』『死せる魂』などが有名作。

 

    • ディカーニカ近郷夜話(1831年-1832年、短編集)
      • ソロチンツイの定期市
      • イワン・クパーラの前夜
      • 五月の夜
      • 紛失した国書
      • 降誕祭の前夜
      • 怖ろしき復讐
      • イワン・フョードロヴィチ・シュポーニカとその叔母
      • 呪禁のかかった土地
    • ミルゴロド(1835年、中編小説集)
      • 昔気質の地主たち
      • タラス・ブーリバ (1842年大幅に改作される。邦題「隊長ブーリバ」とも)
      • ヴィイ
      • イワン・イワーノヴィチとイワン・ニキーフォロヴィチが喧嘩をした話
    • アラベスキ(1835年。下記の中編小説3編のほか、エッセイ、美術批評、小説断片を含む文集)
      • ネフスキー大通り
      • 狂人日記
      • 肖像画(1842年大幅に改作される)
    • 幌馬車(1836年 
    •  (1836年)
    • ローマ(1842年)
    • 外套(1842年)
    • 死せる魂
      • 第1部(1842年)
      • 第2部(未完。1855年、甥により刊行される)

    戯曲

    • 結婚(1835年執筆、1842年出版)
    • 賭博師(1836年執筆、1842年出版)
    • 検察官(1836年。日本語題名『査察官』とも)



 

同じ年代の有名作品
  • バーナビー・ラッジ」チャールズ・ディケンズ(イギリス1841)
  • 「コンシュエロ」ジョルジュ・サンド(フランス1842-1843)
  • 「マリア・マグダレーナ」フリードリヒ・ヘッベル(ドイツ1844)

 

同じ国の有名作家
  • アレクサンドル・プーシキン(ロシア)
  • ミハイル・レールモントフ(ロシア)
  • フョードル・ドストエフスキー(ロシア)


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Author: meisaku

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