「外套」あらすじと解説・登場人物や舞台 ニコライ・ゴーゴリ



ヒトコトあらすじ


 外套を強盗されて無念のまま死んだ主人公が霊として町を徘徊しはじめるが、最後には外套を手に入れて満足して消えるという物語となっています。


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ





初刊:1842年 :ニコライ・ゴーゴリ
長さ:短編 ジャンル:怪奇ホラー


キャラクター構成



ジアカ―キイ・アカ―キエウィッチ・バシマチキン・・・・物語の主人公。役所の官吏。

ペートロヴィッチ・・・・主人公の外套をつくる仕立て屋。

有力者・・・・勅任官。主人公(アカーキエウィッチ)の霊に外套をぶん盗られる。




舞台


ペテスブルク・・・ロシアに存在する港湾都市。主人公らが生活している。

カリンキン橋・・・主人公(アカーキエウィッチ)の霊が出ると噂される橋。



詳しいプロット(展開)



●役人・アカーキエウィッチ

 ペテスブルクの役所にある役人が勤めていた。名をアカーキイ・アカーキエウィッチ・バシマチキンと言い、九等官という名前の響きだけはいい役職には就いていたが、うだつの上がらないあまり目立たぬ人物であった。
 そんな彼はこれといった趣味も無ければ、着るものにも無頓着。おまけにいつまで経っても同じ地位から動かない様子から、同僚たちからも嘲笑の対象にされていた。しかし彼本人は周囲には無関心であり、年に400ルーブルを支給される質素な今の生活に満足していた。
 

●冬の到来

 そんな彼だったが冬が到来し、唯一の外套がボロボロになっていることに気づく。彼は外套を修繕してもらおうと仕立て屋・ペトロ―ヴィッチのもとへ向かった。

 

●仕立て屋

 ペトローヴィッチのもとへ外套を持っていくと、あまりにボロボロなんので修繕はできない、代わりに150ルーブルあれば新しいのを仕立ててやると言ってきた。しかしそんな大金を用意できるはずもなく、懇願虚しくアカーキエウィッチは仕立て屋をあとにした。

 

●節約する


 その後もペトローヴィッチのもとへ通い詰めてなんとか修繕してほしいと願うが断られる。結局アカーキエウィッチは節約して新しい外套を買うお金を貯めようと決心する。

 

●思いがけない幸運


 節約を続けていたアカーキエウィッチに幸運が舞い込む。役所からのボーナスである40ルーブルが60ルーブルになったのだ。それによりアカーキエウィッチは予定より早く外套を作ることとなった。

 


●新しい外套


 ついに外套が出来上がる。アカーキエウィッチはさっそく新しい外套を着て役所へ出かけた。すると身だしなみに興味のないアカーキエウィッチが真新しい外套で出勤してきたということで同僚たちの見る目が変わる。そして役人たちは新しい外套を祝おうと夜会を開こうと誘ってくる。アカーキエウィッチはそれに応じることとなった。

 

●外套を盗られる


 やがて幸せな気分に包まれながら、夜会をあとにするアカーキエウィッチ。時間はすでに真夜中、通りには人の姿は見られない。すると突然、ふたりのゴロツキに襲われてしまうアカーキエウィッチ。
 そしてアカーキエウィッチは無理やり外套を剥ぎ取られて、あげく雪上に転がされて意識を失った。



●有力者のもとへ


 目を覚ましたアカーキエウィッチはすぐに交番に被害を訴える。しかし満足のいく対応をしてもらえず、アカーキエウィッチは途方にくれます。
 アカーキエウィッチはしばらく役所に出勤しませんでしたが、やがて古い外套を着たアカーキエウィッチが登場すると、同僚たちは同情した。そしてある同僚から、警察と繋がりのある”有力な人物”に相談してみてはと助言を受ける。
 アカーキエウィッチは後日、その有力な人物のもとをたずねる。
 



●アカーキエウィッチの死


 しかし長時間待たされたのち、有力な人物もまた満足のいく対応をせず、あげくアカーキエウィッチを怒鳴って追い返す始末。途方にくれたアカーキエウィッチ。さらに寒空のなか帰路についたせいもあり病気を患ってしまう。そして病気にうめく数日を送ったあとで、息を引き取ってしまう。
 そしてアカーキエウィッチの席には何事も無かったかのように新しい役人が配属されるのだった。


●幽霊のうわさ


 その後、カリンキン橋で幽霊が出るという噂が街に流れ始める。その幽霊というのは役人の見た目をしていて、「外套をよこせ」とせがんでくるのだそう。ある夜、ある役人が幽霊を見かけるが、それが顔見知りだった
アカーキエウィッチだと分かり、恐怖におののいた。最後には噂を聞いた警察たちが幽霊捜索に乗り出す騒ぎにもなった。


●外套を渡す有力者


 そんな幽霊騒動が続くなか、かつてアカーキエウィッチを追い返した有力な人物は、後悔の念に苛まれていた。外套の件で彼を追い返してしまったばかりに彼が死んでしまったことに呵責を感じていたのである。
 そんな彼は憂鬱な気分をまぎらわそうと夜会に出かける。そして暖かな外套に身を包みながら例のカリンキン橋を歩いていた。
 するとそこにアカーキエウィッチの霊が現れる。そして「外套をよこせ」恫喝される。怯えた有力者はすぐさま脱ぎ捨てる。するとアカーキエウィッチの霊は満足したのか姿を消した。
 その後、霊を見るという噂が流れることは無かった。

 





文章抜粋


●えー、あるお役所での話でございます……。まあ、ここんところはそれがどこのお役所であるのかは申し上げないほうがよろしいでしょうな。なにしろ、省庁にしろ、連隊にしろ、官庁にしろ、ひとことで申しまして、お役人ってえ人ほどこの世で気のみじかい人はございませんから。(冒頭の一文)



●幽霊が振り向いて立ち止まり、
「なんぞ用かい?」
  そう言うと、人間のものとは思えないでっかい拳固をぐいと突き出した。
「いや別に」
  と言うと、巡査はその場で回れ右をする始末。いや、なんでもその幽霊は背丈もずっと高く、おまけに立派な口髭を生やしていたそうで、オブ―ホフ橋とおぼしき方角に歩を進めると、夜陰にまぎれてぷつりと行方をくらましたと申します。(最後の一文)



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2.雑多データ


ココがスゴい!


執筆中…


似ている名作




捜索中…



似ている最近の作品


●捜索中…



メディア化


●ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる

この短編を原作とした映画となっているそうです。気になった方はぜひリンクから詳細を調べてみてください。






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3.作者データ

 ニコライ・ゴーゴリ

 ロシアの作家・劇作家。『外套』『死せる魂』などが有名作。


    • ディカーニカ近郷夜話(1831年-1832年、短編集)
      • ソロチンツイの定期市
      • イワン・クパーラの前夜
      • 五月の夜
      • 紛失した国書
      • 降誕祭の前夜
      • 怖ろしき復讐
      • イワン・フョードロヴィチ・シュポーニカとその叔母
      • 呪禁のかかった土地
    • ミルゴロド(1835年、中編小説集)
      • 昔気質の地主たち
      • タラス・ブーリバ (1842年大幅に改作される。邦題「隊長ブーリバ」とも)
      • ヴィイ
      • イワン・イワーノヴィチとイワン・ニキーフォロヴィチが喧嘩をした話
    • アラベスキ(1835年。下記の中編小説3編のほか、エッセイ、美術批評、小説断片を含む文集)
      • ネフスキー大通り
      • 狂人日記
      • 肖像画(1842年大幅に改作される)
    • 幌馬車(1836年 
    •  (1836年)
    • ローマ(1842年)
    • 外套(1842年)
    • 死せる魂
      • 第1部(1842年)
      • 第2部(未完。1855年、甥により刊行される)

    戯曲

    • 結婚(1835年執筆、1842年出版)
    • 賭博師(1836年執筆、1842年出版)
    • 検察官(1836年。日本語題名『査察官』とも)



同じ年代の有名作品
  • バーナビー・ラッジ」チャールズ・ディケンズ(イギリス1841)
  • 「コンシュエロ」ジョルジュ・サンド(フランス1842-1843)
  • 「マリア・マグダレーナ」フリードリヒ・ヘッベル(ドイツ1844)

同じ国の有名作家
  • アレクサンドル・プーシキン(ロシア)
  • ミハイル・レールモントフ(ロシア)
  • フョードル・ドストエフスキー(ロシア)


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Author: meisaku

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