「館」あらすじと解説・登場人物や舞台 ウィリアム・フォークナー



ヒトコトあらすじ


 スノープス家の隆盛を描く物語となっており、<><>と続いてきた三部作の最終巻。


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●1.基本データ
 Lキャラクター構成
    L舞台設定
 L詳しいプロット(展開)
 L文章抜粋
 

●2.補足データ
   Lココがスゴい!
 L似ている名作
 L似ている最近の作品 
 Lメディア化


●3.作者について
  L同じ年代の有名作品
        L同じ国の有名作家



1.基本データ




初刊:1959年 :ウィリアム・フォークナー
長さ:長編 ジャンル:地方記


キャラクター構成



フレム・スノープス・・・・スノープス一族の代表的人物。銀行頭取。

リンダ・スノープス・・・・フレムの娘。ユーラとホーク・マッキャロンが実の父母。

ミンク・スノープス・・・・スノープス一族のひとり。殺人罪で投獄されていた。

ギャヴィン・・・・検事。

V・K・ラトリフ・・・・ミシン商人。ギャヴィンの友人。

ホーク・マッキャロン・・・・リンダの実の父。




舞台



ミシシッピ州ヨクナパトーファ郡ジェファソン・・・架空の土地。アメリカに存在する地方の名前。三部作の主な舞台となっている。



詳しいプロット(展開)


●スノープス家の殺人者

 かつて殺人を犯し、投獄されてしまったスノープスのひとり、ミンク・スノープスに関するプロフィールなどが紹介される。  
 彼は裁判の折、一族の有力者であるフレムが助けてくれると思っていた。
 しかし彼に見捨てられたことで長い刑期を言い渡されることになり、フレムへの復讐に燃えながら、釈放の日を待っていた。

●フレムの謀略

 いっぽうのフレムは、見捨てたミンクに恨まれていることを知っていた。そのためフレムは同じく収監されていたスノープスのひとりを使って、ミンクに脱獄をそそのかさせる。
 ミンクはフレムの策略とも知らず、脱獄に失敗したことでさらなる懲役を課せられることになった。
 ミンクはこれに懲りて、二度とフレムを信用しないように誓った。

●復讐心を燃やす老人

 出所の時を静かに待っていたミンクのもとに、リンダ・スノープスと名乗る者から出所の嘆願書が届く。それによりミンクは出所する。歳はすでに60を過ぎていた。だがその老爺の心はフレムを殺すと言う復讐のみに燃えていた。

●リンダの後日談

 リンダ・スノープスの「」以降の後日談が語られていく。  
 フレムから町を出る許可を得た彼女は、ニューヨークの大学へ進学。そこで出会ったバートン・コールという男と結婚した。バートンは共産主義者であったため、スペインの内乱へ参加することを決め、彼を愛するリンダもついていくことになった。
 その為ふたりは、出発する前に結婚式を挙げた。そこにはギャヴィンやラトリフなども参加しており、リンダの本当の父親ホーク・マッキャロンも密かに参加していた。  ギャヴィンはそこでリンダが自分の出生の秘密を知っていたことを悟る。

●すれ違うリンダとギャヴィン

 まもなくリンダは夫ともにスペインに向かうが、飛行機の墜落によって夫が死に、リンダも鼓膜が破れ、耳が聞こえなくなってしまう。  
 未亡人となったリンダはジェファソンへと戻ってくる。
 ギャヴィンが彼女をサポートして、再び二人の間に恋が芽生え始めていたが、結局二人は結婚することはなく、リンダは共産主義者としてFBIから逃げるため、造船所で働くことで雲隠れした。
 リンダと離れたギャヴィンは、まもなく子連れの女性と結婚した。

●フレムの死

 リンダの嘆願書によって出所したミンクは、新興宗教の使いなどとして働きながら、フレム殺害の計画を進めていた。
 ギャヴィンはきっとミンクが出所したらフレムを殺すだろうと予期しており、出所の際に彼に250ドル渡して、ジェファソンには近づくなと告げた者の、彼は金を受け取らずにそれを拒否した。  
 ギャヴィンは友人のラトリフとともに、消えたミンクの行方を追うが、間に合わなかった。  ミンクは購入した銃で、フレムを射殺したのだった。そして殺人を犯した後のミンクを逃がした者がいた。それはリンダだった。  

●リンダの影

 フレムの葬儀のあと、リンダはフレムの館をド・スペインの親族に譲り渡してジェファソンから出ていった。  
 ラトリフは、フレムの殺しは、きっとリンダが仕組んだものなのだろうとギャヴィンに告げる。ギャヴィンはリンダが新車を購入したことなど、何となく真実を察せざるを得ない状況に出くわしたが、彼が真実を認めることは無かった。

●復讐を遂げて

 ギャヴィンとラトリフはようやくミンクを発見する。ギャヴィンはミンクに250ドルを渡すと、州外へ出ていってくれるなら、定期的に生活費を工面すると持ちかける。ミンクは今度は了承した。
 ギャヴィンの金を手にして、復讐も遂げたミンクは、満ち足りた気分のまま、地面へ横たわるのだった。







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文章抜粋


●原本未入手




2.雑多データ


ココがスゴい!




似ている名作


●「黄金の林檎」ユードラ・ウェルティ


>>>解説記事へ<<<
ある町を多角的な視点から描いているユードラ・ウェルティ作「黄金の林檎」。マクレイン家という「権力をもった家系」が周囲に影響力を持っているという点においてかなり似た名作になっているなと思いました。




似ている最近の作品


●「ゴッド・ファーザー」シリーズ

 アメリカ製作のシリーズ映画。マフィアである「コルレオーネ家」を中心に、その周囲で起こる出来事を描いていきます。
 権力を持つある一家を中心に描いている構成、親から子へ主役の立ち位置が変遷する展開、三部作であることなど、同じアメリカ作品ということもあり、かなり類似点の多い作品ではないかなと思います



メディア化


●1953~56年ごろに一度映画化されているようです。

参考リンク集:
https://eiga.com/movie/66116/
https://moviewalker.jp/mv13576/
https://www.allcinema.net/cinema/4047


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3.作者データ

 

ウィリアム・フォークナー

 20世紀アメリカ文学を代表する作家。代表作に「サンクチュアリ」「八月の光」「アブサロム、アブサロム!」などがある。

    長編小説

    • 兵士の報酬Soldier’s Pay 1926年
    • 蚊Mosquitoes 1927年
    • サートリスSartoris 1929年
    • 響きと怒り The Sound and the Fury 1929年
    • 死の床に横たわりて As I Lay Dying 1930年
    • サンクチュアリ Sanctuary 1931年 
    • 八月の光 Light in August 1932年 
    • 標識塔(パイロン)Pylon 1935年 
    • アブサロム、アブサロム! Absalom, Absalom! 1936年
    • 野生の棕櫚The Wild Palms 1939年
    • 村 The Hamlet 1940年
    • 墓地への侵入者Intruder in the Dust 1948年
    • 尼僧への鎮魂歌Requiem for a Nun 1951年
    • 寓話A Fable 1954年
    • 町The Town 1957年 
    • 館The Mansion 1959年 
    • 自動車泥棒The Reivers 1962年 

    短編集

    • 『エミリーに薔薇を』(A Rose for Emily、1930年)『フォーラム』誌掲載
    • 『これら十三篇(英語版)』(These 13、1931年)
    • 『医師マルティーノ、他』(Doctor Martino and Other Stories、1934年)十四の短編を集めた本
    • 『征服されざる人々』(The Unvanquished、1938年)
    • 『行け、モーゼよ、その他(英語版)(Go Down, Moses、1942年)※
    • 『ポータブル・フォークナー』(The Portable Faulkner、マルカム・カウリー編纂・1946年)
    • 『駒さばき』(Knight’s Gambit、1949年)(邦題『ナイツ・ギャンビット』とも)
    • 『フォークナー短編集』(Collected Stories of William Faulkner、1950年)
    • 『大森林』(Big Woods、1955年)(邦題『大いなる森』とも)
    • 『ニューオリンズ・スケッチ』(New Orleans Sketches、1955年)
    • 『長野のフォークナー』(ロバート・A・ジェリフ編、1956年)

    詩集、エッセイ、その他

    • 『大理石の牧神』(The Marble Faun、1924年)
    • 『緑の大枝』(A Green Bough、1933年)
    • 『ミシシッピー』(自伝エッセイ、1954年)
    • 『ウィリアム・フォークナー ニューオリンズスケッチ集』(カーヴェル・コリンズ編、1958年)
    • 『ねがいの木』(娘のために書いた物語、1964年)

    映像脚本

    • 『最後の奴隷船』(ジョージ・S・キングの小説、1937年)
    • 『待つと待たぬと』(ヘミングウェイの小説、1945年)
    • 『永遠の戦場』 THE ROAD TO GLORY (1936年)
    • 『脱出』 TO HAVE AND HAVE NOT (1944年)
    • 『三つ数えろ』 THE BIG SLEEP(1946年)
    • 『ピラミッド』 LAND OF THE PHARAOHS (1955年)  

     

    同じ年代の有名作品
    • 「晩餐会」クロード・モーリヤック(フランス1959年)
    • 「自由な顛落」ウィリアム・ゴールディング(イギリス1959年)
    • 「ブリキの太鼓」ギュンター・グラス(ドイツ1959年)
    同じ国の有名作家
    • リチャード・ライト(アメリカ)
    • カーソン・マッカラーズ(アメリカ)
    • トマス・ウルフ(アメリカ


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    Author: meisaku

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